各国際ブランドの特徴を紹介

ここでは、国際ブランド会社の業務と各ブランドの特徴について説明していきます。カードを作るとき、「国際ブランドを選んでください」の項目で手が止まりませんか?VISA・MasterCard・JCBなど、「どれも名前は分かるけれど、違いがいまいち分からない」そんな人が多いのではないでしょうか。

国際ブランドとは何か?

国際ブランドとは、24時間365日世界中どこででも通用する決済システムを提供する企業のことです。国際ブランド会社があることによって、アメリカでのドルの支払いを翌月日本円で決済する、ということが可能なのです。

世界的の5大国際ブランドといわれているのは、VISA・MasterCard・JCB・AmericanExpress(アメリカンエクスプレス)・Diners Club(ダイナーズクラブ)ですが、それらに加え最近は中国の銀聯(ぎんれん)カードが勢力を拡大しています。

国際ブランド売上高のシェア率(2014年)


koku01
VISA(48.5%)

koku02
MasterCard(31.7%)

koku03
中国銀聯(8.9%)

koku04
Amex(8.2%)

koku05
JCB(2.5%)

koku06
Diners(0.2%)

売上シェアではVISAが圧倒的、次いでMasterCardです。なんと中国銀聯が3位につけていて、爆買いの勢いを感じます。日本では存在感のあるJCBですが、世界で見ると2.5%しかシェアがありません。

国際ブランドは大きく2つに分けることができます。ひとつは決済機能の特化した国際ブランドで、VISA・MasterCardがこれにあたります。

もうひとつは決済だけでなくカード発行や会員サポートまで含めてサービスを提供する国際ブランドで、JCB・AmericanExpress・DinersClubがあてはまります。中国銀聯がどちらにあてはまるのかまだ判断しかねるのですが、カード発行を他社がおこなっているところを見ると前者といえるかも知れません。

基本的にひとつのカードで選択できるのは1つの国際ブランドだけです。

有名ブランドならどれでも決済機能に大きな違いはありませんが、使える加盟店の数や地域、会員サービスの質に差があります。

各ブランドの特徴についてみていきましょう。

とりあえず1枚は持っておきたい世界最大手の「VISA」

世界のクレジットカード売り上げの半分近くを担っている世界最大の国際ブランドです。カードを発行する提携カード会社が多く、支払いが可能な加盟店も豊富です。クレジットカードが使えるならVISAは必ず使えるといっていいほど幅広く展開しているので、最も使いやすいブランドといえるでしょう。はじめてカードを作る時など、とりあえず1枚は持っておきたい国際ブランドです。

最強のカードといえるVISAですが、弱点もあります。クレジットカードに付帯する優待やサービスはカード発行会社が提供するので、国際ブランドとしてのVISAが提供するサービスはあまり充実していません。そのあたりはカード発行業務も兼ねるJCBやAmericanExpressのほうが優れています。

VISAに匹敵する国際ブランド「MasterCard」

VISAとならぶ2大ブランドの1つです。少し前の「Priceless」のCMで一躍有名になり、いまも積極的に勢力拡大をはかっています。世界で使える地域や加盟店などはVISAとほとんど変わりはありません。かつてはヨーロッパ圏に強いといわれてきましたが、現在はさほど違いはなくなってきました。2枚以上クレジットカードを持つなら1つはおさえておきたいですね。

ただしMasterCardもVISA同様カード発行をおこなっていないので、優待や付帯サービスはカード発行会社の裁量にゆだねられており、受けられるサービスはカードの種類によってバラツキがあります。

急速にシェア拡大中の「中国銀聯」

中国を中心に急速に広がっている国際ブランドで、国際表記は「UnionPay」となっています。日本のお店でもロゴを見かけることが増えてきました。銀聯カードは2002年から発行され、中国国内では圧倒的シェアを誇っています。中国以外でも日本・アメリカ・シンガポール・韓国・オーストラリアなど約20か国で利用できます。

中国で生活するには不可欠なカードですが、今のところ日本人が日本や海外で利用するために選ぶカードではなさそうです。日本でも中国人観光客が好む家電量販店やドラッグストア、宿泊施設での加盟店が増加していますが、それ以外ではやはりVISAやMasterCard、JCBが主流です。

日本唯一の国際ブランド「JCB」

日本初の国際ブランドです。アジア各国に加盟店網を持ち、韓国・香港・台湾・シンガポールなどではVISAやMasterCardと同様に使えます。国内では存在感が高く、地方や中小店舗などではJCBしか使えないところがあるくらいです。

国際ブランドでありながらカード発行会社でもあるので、多彩な優待や付帯サービスが特徴です。
海外での日本語サービスデスクは言葉に不安がある方には心強いですね。東京ディズニーランドの会員限定特典やキャンペーンなど、提携企業先のサービスが豊富です。

世界的に見るとシェアも小さく使いにくい面がありますが、日本人が使うにはメリットの多いカードです。

トラベル&エンターテイメントの代表「AmericanExpress」

「アメックス」の愛称とローマ兵士のカードデザインで有名な国際ブランドです。カードがグレードごとに分けられ、それぞれに応じた年会費やサービスが提供されるのが特徴です。「ブラックカード」は最上位の「センチュリオン」カードのことを指します。

空港ラウンジや手荷物無料宅配サービス、トラベルサービスデスク、ホテルやレストラン・レジャー施設での特典など、国内外へよく旅行や出張に行かれる方にうれしいサービスが豊富です。一方、日本からあまり出ない人やポイントを貯めるのが目的の人には向いていません。

最高のステータスカード「Diners Club」

世界最高峰のステータスを誇る国際ブランドです。経営者やエグゼクティブ層が主な顧客で、最低ランクのカードでも他社のゴールドカード並の年収や属性が必要です。グルメ・旅行・エンターテイメント・ゴルフなど、富裕層向けのハイレベルなサービスが充実しています。

一般の人々が利用するようなお店が加盟店になっていることはまれで、利用できるのは一部高級店に限られています。日本ではJCBと提携するようになってから徐々に利用できるお店が多少増えています。

JCBと提携をしているものの、年会費が高さや利用場所の少なさを考えると、使い勝手の良いカードとはいえません。あくまでもステータスを所持すると考えた方が良いでしょう。

まとめ

VISAとMasterCardの2択であれば、どちらも国内外で使いやすいブランドなので違いはありません。国内でよく利用する場合はVISA・MasterCard・JCBの3択になりますが、会員サービスの質でJCBが一歩リードしています。

カードを2枚持つならJCBを1枚とVISA/MasterCardいずれか1枚が妥当な選択でしょう。1枚で良いという場合はVISAかMasterCardになるでしょうが、行動範囲が日本と韓国・香港・ハワイなど日本人がよく行く地域に限られているなら、JCBだけでも十分機能します。

AmericanExpressとDinersClubは高いステータス(と年会費)が特徴なので、コツコツポイントやマイルを貯めるのには向いていません。頻繁に海外に行く機会があり、空港やホテル・レジャー施設をよく利用するなら、AmericanExpressのサービスの良さには感動するでしょう。DinersClubは身の丈に合った方ならおすすめです。

国際ブランドはどれも同じようで実はけっこう違いがある、ということが伝わりましたでしょうか。ぜひ、ライフスタイルと価値観に合ったブランドを選んでくださいね。