属性スコアリング・重要項目・クレジットヒストリー

クレジットカードに入会するには、必ず審査があります。審査に通ればカードを作ることができますが、場合によっては断られることもあります。では、審査では一体どのような基準で申込者の合否を決めているのでしょうか?クレジットカード審査の実態を調査してみました。

審査で重視される「収入・返済能力・連絡のつきやすさ」

クレジットカードは、カード会社が利用者に一時的にお金を立て替えるしくみです。カード会社としては、きちんと返済してくれる利用者でないと安心してカードを渡すことはできません。そこで、その申込者が信頼できるかどうかを診断するのが審査です。

「信用度」を測るときに重視されるのが、「収入・返済能力・連絡のつきやすさ」の3つの要素です。その3種類の要素を、以下の2つのステップで審査します。

  1. 属性スコアリング
  2. クレジットヒストリー(クレヒス)

聞きなれない言葉ですが、クレジットカードの審査の話では必ず出てくる用語です。

それぞれ見ていきましょう。

属性スコアリングの主な項目

属性スコアリングとは、年齢や年収などのこまかな項目に点数付けをして、その合計点で合否を判断するものです。最近では属性スコアリングの計算はすべてコンピューターでおこなっています。クレジットカードの発行スピードは年々早くなっており、中には即日発行や翌日発行が可能なものもありますが、それは審査がコンピューターによって自動化されてきているからです。

点数のつけ方はカード会社によって異なりますが、たとえば職業が公務員の場合は50点、学生の場合は10点といった具合です。採点方法はカード会社にとって最高の企業秘密なので、一般には公開されていません。ただし、どういった属性のスコアが高いのかなどはほぼ共通しています。各項目について、その傾向を見ていきましょう。

年齢
クレジットカードの入会条件には「年齢満20~60歳」など年齢制限がもうけられており、これを満たしていないと申し込むことはできません。年齢制限はカードによってそれぞれですが、60歳を超えると次第に入会できるカードの数が限られてきます。
職種
どんな仕事をしているかは返済能力に直結するので、職種は次の勤続年数・勤務先規模・勤務形態と合わせて重要な項目です。職種は十分な収入が安定的に得られるかどうかの指標になるので、医師や弁護士、会計士などの有資格者、公務員や大企業の会社員、教師などの安定的な職業の方はスコアが高くなります。逆に、パート・アルバイト、芸能人・アーティストなど不安定な職業の場合は不利になります。
勤務年数
一般的には長いほうが有利とされていますが、最近では転職して収入が上がる人も増えてきているので、それほどシビアではなくなってきました。ただし、クレジットカードによっては入会条件に「勤続年数1年以上の方」とある場合もあります。
勤務先規模
勤務先規模とは、「資本金」と「従業員数」を指します。資本金は高いほど、従業員数は多いほど点数が高くなります。いわゆる大企業とは資本金3億円以上で従業員数300人以上の企業ですから、スコアはかなり高くなります。
収入
収入は高いに越したことはありませんが、あくまでも職種や勤続年数、勤務先規模と合わせて考慮される項目のひとつにすぎません。ある一時期だけ高収入な自営業者よりも、控えめながら安定的な公務員の方が評価は高くなります。最近では「年収〇〇万円以上」と明記しているクレジットカードは少なくなりました。ゴールドカードも最低限の年収を提示するだけで、年収だけが審査の合否を左右することはありません。
住居形態・居住年数
どんな家に何年住んでいるかを確認する理由は、「連絡のつきやすさ」を測るためです。本人名義の持ち家に長年住んでいる人は、ある日突然姿を消す確率はかなり低いでしょう。逆に、賃貸や公営住宅を転々としている人はリスクが高いと判断されます。住所不定は論外です。担保を取るわけではないので、住居の資産価値を測るための項目ではありません。
家族構成
家族構成は生活費の多さを測るために聞かれます。配偶者がいて子供が3人以上など大家族の場合は、生活費がかさんで返済能力に影響があることが懸念されます。ただ、安定的に高い収入が得られる職業の場合はあまり審査に影響はありません。
電話
かつては固定電話がある方が有利といわれていましたが、最近では携帯電話しか持たない家庭が増えてきましたので、それほど気にする必要はなくなってきました。ちなみに、固定電話も携帯電話もない場合は、申込は受け付けられません。

申込時にはこれらの項目以外が審査対象になることはありますが、重視されるのは上記の項目です。

属性スコアリングは複数の要素が複雑に絡み合った計算方法から算出される点数制度なので、どの項目が良いかではなく、「総合点がいくらになるか」がカギになります。

属性が良くても「クレヒス」が悪いと審査に落ちる

カード会社としては、借りたお金を返さないような人にカードは発行できません。お金の貸し借りにおいて、その人がどんな行動をとってきたかが分かる情報を「クレジットヒストリー(通称クレヒス)」といいます。属性がどんなに良くても、クレジットヒストリーが悪い場合は審査に受からないことがあります。

クレジットヒストリーとは、過去の支払い状況や現在の借り入れ状況の履歴です。クレジットカードやキャッシング、銀行カードローンなどを利用すると、申込・借入・返済の状況が逐次記録されます。もし過去に返済を延滞する、返済できなくなって債務整理をする、規約に違反して強制退会となるなどした場合、新たにクレジットカードを作ることは難しくなります。また、現在収入と比べて多すぎる借り入れをしている場合や、短期間に立て続けに申し込みをしていた場合も、入会を断られる理由になります。

属性は利用者が申し込みの際に記入した情報が基になりますが、クレジットヒストリーは個人信用情報の専門機関を介して照会するため、ごまかしようがありません。大切なのは、支払いをきちんとして自分の信用度を上げておくことです。

ウソをついてもプラスになることはない

クレジットカードの審査に落ちたい人はいません。そのため、少しでも属性を良く見せようと、年収を多めに記入したり、虚偽の勤務先を申告したりする人がいます。しかし、これらはすぐにバレる上、要注意人物としてカード会社にマークされるので、絶対にやめておきましょう。

クレジットカードの審査では源泉徴収票などの収入証明書を提出する必要はありませんが、カード会社は膨大な顧客データから「この職種と勤続年数なら年収はこのくらい」というデータを持っています。そのため、あまりにも現実と乖離した年収を申告するとすぐに怪しまれ、証明書類の提出を求められることがあります。

虚偽の勤務先も同様で、カード会社は申込者が本当にその会社に勤めているのか、肩書は正しいのか確認するため、勤務先に電話をして「在籍確認」をします。その結果ウソだと分かると、カードの剥奪、強制退会、悪質な場合は詐欺罪に問われることがあります。

審査で有利になるためにウソをつくことは、リスクが高い割にはメリットが薄い行為です。審査ではミスも含めて正確な申告が求められます。