3つの機関・登録情報・開示請求・審査で心がけること

クレジットカードの審査で落ちたくないあまり、他社からの借り入れや過去の延滞を隠して申し込む人がいます。しかし、そんなことをしてもすぐにバレます。なぜなら、あなたの借入に関する情報はすべて「個人信用情報機関」に保存されていて、クレジットカード会社はいつでもその情報を見ることができるからです。

日本に存在する3つの信用情報機関

個人信用情報機関とは、個人の借入や返済に関する情報を登録し、加盟している企業に提供する民間機関です。日本には以下の3つの信用情報機関があり、クレジットカード会社をはじめ個人にお金を貸す事業をしている企業は、いずれかの個人信用情報機関に加盟しているのが普通です。

CICはクレジットカード会社や信販会社を主な会員とする信用情報機関です。クレジット・信販以外にも、小売業、信用保証会社、ローン・リース会社、携帯電話会社および一部の消費者金融や銀行など、幅広い企業が加盟しています。

JICCは消費者金融が中心ですが、クレジットカード会社や銀行などが加盟していることもあります。

KSCは名前のとおり、銀行・地方銀行・信用組合・信用金庫・労働金庫など銀行や銀行に準ずる企業向けの情報機関です。

最近では各事業における業界の垣根はなくなってきており、銀行だからKSCだけに加盟しているとは限りません。銀行でもクレジットカード事業ならCICを参照し、カードローン事業ならJICCを参照するといった状態になっています。

クレジットカード会社は基本的にCICの会員ですが、JICCと同時加盟している企業も少なくありません。たとえば、JCBの加盟信用情報機関はCICですが、三井住友VISAカードはCICとJICCの両方です。もし三井住友VISAカードで延滞など信用を失う行動をとった場合、CICだけでなくJICCにもその事実が登録されることになります。

どの企業がどの信用情報機関に加盟しているかは、クレジットカード会社のホームページの規約か、個人信用情報機関の会員一覧のページで確認できます。

個人信用情報機関の間では情報が共有されている

複数の信用情報機関に登録していなくても、CICの情報はJICCやKSCに伝わります。

Aというクレジットカード会社がCICに加盟していて、Bというクレジットカード会社がKSCに加盟している場合、A社で借り過ぎや延滞があっても、「信用情報機関が違うのだからB社には内緒にできるのでは?」と考えてしまいがちです。

しかし、実際には信用情報機関同士は「CRIN」というシステムでつながっていて、延滞や債務整理、強制退会など深刻な金融事故を起こした場合はすぐにデータが共有される仕組みになっています。

ある会社で借りられなくなったことを隠して他の会社から借りようとしても、それは不可能なのです。

信用情報機関には、どんな情報が保存されているのか?

信用情報は、以下のような金融商品を利用した時に登録されます。これらの商品で、契約や借り入れ・返済をするたびに情報は更新されていきます。もちろん、遅延や破産など、ネガティブな情報も保存されます。

  • クレジットカード(ショッピング・キャッシング)
  • 割賦販売(商品の分割払い・携帯電話端末の分割払いなど)
  • 目的別ローン(住宅ローン・自動車ローン・教育ローンなど)
  • 無担保ローン(カードローン・フリーローン・消費者金融・キャッシングなど)

保存される情報は驚くほど詳細です。内容は各機関によって微妙に異なりますが、個人を特定する情報のほか、契約内容や返済状況、残高情報、事故情報が含まれます。

  • 個人を特定する情報
    (氏名・生年月日・住所・電話番号・勤務先・運転免許証等の記号番号等)
  • 契約内容に関する情報(契約日・契約会社・借入金額・返済予定日・返済回数等)
  • 返済状況に関する情報(返済予定日に対する入金状況等)
  • 残高情報(キャッシング残高や保証枠等。枠は残高が0でも保存)
  • 事故情報(3ヵ月以上の延滞・強制解約・債務整理・破産などの有無)

これらは申込者や契約者が信用に値するか判断するのに不可欠な情報です。中でも事故情報は重要で、ひとつでも該当すると新たな契約は絶望的といえます。個人信用情報は業界内で共有されているので、違う企業や違う機関の加盟会社でもごまかすことはできません。

信用情報は個人でも参照することができます!

自分の個人情報なのに業者ばかりが独占して何だか不公平な気がしますが、実は自分の信用情報は信用情報機関に開示請求することができます。自分の借り入れ状況を把握したい場合や、審査に落ちた理由を知りたい時などに活用できます。

たとえばクレジットカード会社の加盟が多いCICでは、請求方法も参照方法も豊富です。開示請求は、パソコン・スマートフォン・携帯電話・郵送または窓口のどれでもできます。かつては書類が郵送されてきましたが、最近ではインターネット開示にも対応しており、パソコン・スマートフォン・携帯電話の画面上ですぐに確認することも可能です。

郵送開示を希望する場合は、請求から10日ほどで開示報告書類が送られてきます。インターネット開示と郵送開示の場合の手数料は1,000円です。CIC開示窓口(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・岡山・福岡)が近くにあるなら、直接窓口で申し込むとその場で開示報告書を渡してもらえます。手数料も少しだけ安く、500円です。

開示報告書は少し暗号めいたところがあるのですが、読み方を参照しながら解読してください。

もし身に覚えのない情報や誤った情報が登録されていた場合、修正を依頼することもできます。

クレジットカードの審査ではウソはつけない

クレジットカードの審査において、他社借り入れ状況や返済状況、過去の事故情報などは、貸す側にとっては非常に重要な情報です。そのため、申込者の自己申告だけに頼らないように個人信用情報機関が設立されました。

最初は業界ごとに分裂していた各機関も、多重債務や貸し倒れの問題から情報共有の重要性を認識し、リスクの高い人にお金を貸さなくて済むよう情報交換をするようになりました。

したがって、あなたの過去・現在における借り入れ状況はクレジットカード会社に筒抜けです。ウソをついて点数を良くすることはできません。むしろ、申告内容が事実と異なることで信用をさらに落とすことになります。

クレジットカードの審査では、あくまでも正直に事実を伝えることが大切です。もしその結果カードが作れなかったとしても、無理な債務が増えるリスクが減ったと割り切って、他のカードを探すなどしましょう。