貸金業者と非貸金業者の違い

総量規制は簡単にいえば「個人の借入総額を年収の1/3に制限する仕組み」です。しかし、すべての個人向け貸付けに、総量規制が適用されるわけではありません。というのも、総量規制は2010年に施行された改正貸金業法に含まれる規定だからです。ここでは貸金業者と非貸金業者の違いについて解説します。

そもそも貸金業者とは・・・

改正貸金業法は、その名の通り貸金業に関する法律です。適用されるのは貸金業を行う業者=貸金業者です。つまり総量規制が適用されるのは、貸金業者のみというわけです。

個人向け貸付けには「貸金業者が行う総量規制の対象となる貸付」と「非貸金業者が行う総量規制の対象外の貸付」の2つが存在します。

貸金業者と非貸金業者の違いについて説明しましょう。

貸金業者の代表は消費者金融やクレジットカード会社

貸金業者は簡単にいうと「金銭の貸し付けや物の貸し借りの仲介をする業者」です。貸金業者というと消費者金融をイメージする方が多いかと思いますが、実際には他にも様々な貸金業者が存在します。貸金業者として登録されているものには、次のようなものがあります。

消費者金融

消費者金融は、個人に対してお金を貸し付ける貸金業者を指します。別名サラ金(=サラリーマン金融)とも呼ばれますが、イメージが悪い呼称のため、最近はあまり使われない傾向にあります。

代表的な消費者金融

  • アコム株式会社(三菱UFJフィナンシャル・グループ連結子会社)
  • SMBCコンシューマーファイナンス株式会社(サービスブランド「プロミス」)
  • アイフル株式会社
  • 株式会社SMBCモビット(SMBCグループ)

信販会社

信販会社は、販売信用を主な事業とする会社です。販売信用がクレジットとも呼ばれ、一般的にはクレジットカード会社として認識されていることがほとんどとなっています。

現状、国内に流通するクレジットカードのほとんどにキャッシング機能が付いている関係上、信販会社も貸金業者としての登録が必要です。

代表的な信販会社

  • 株式会社オリエントコーポレーション(オリコカード)
  • 三菱UFJニコス株式会社(ニコスカード)
  • 株式会社クレティセゾン(セゾンカード)

事業者金融

事業者金融は、中小企業経営者や個人事業主を対象として、事業資金の貸付を行う貸金業者です。事業者金融の貸付は、ビジネスローンや商工ローンとも呼ばれます。

代表的な事業者金融会社

  • 株式会社 ビジネスパートナー
  • ビジネクスト株式会社

ソーシャルレンディングサービス

ソーシャルレンディングサービスは「投資型クラウドファンディング」とも呼ばれ、ネット上でお金を借りたい個人や企業(ボロワー)とお金を貸したい個人や企業(レンダー)を結びつける融資仲介サービスです。

そのため、このサービスを行っている業者も金銭の貸し借りを仲介する業者として、貸金業者に分類されます。

ホームページ・日本貸金業協会

代表的なソーシャルレンディングサービス

  • AQUSH(アクシュ)
  • maneo(マネオ)
  • SBIソーシャルレンディング

他にも、リース会社やNPOバンク(非営利の金融組織)なども貸金業者として登録されていますが、個人向け貸付けとはあまり関係がないため割愛します。

総量規制を考える場合、消費者金融や信販会社が貸金業者だということを押さえておきましょう。

消費者金融でお金を借りる場合や、信販会社へクレジットカードを申込む際にキャッシング枠(借入枠)を設定する場合、総量規制の適用範囲内となることが理解できると思います。

総量規制を適用しない非貸金業者とは

個人向けの貸付を行っているのは、貸金業者だけではありません。では、非貸金業者にはどんなものがあるのでしょうか?次に具体的な業者を挙げていきますので、参考にしてみて下さい。

  • 銀行(銀行カードローン)
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 労働金庫
  • 保険会社
  • 証券金融会社
  • 農協
  • 漁協
  • 質屋

これらの大半は、フリーローンや目的ローン、カードローンなど、個人向け貸付商品を多数リリースしていますが、貸金業者には分類されません。そのため、銀行のカードローンや信用組合の個人向け貸付けなどに関しては、総量規制の対象外になります。

貸金業者かどうかを調べる2つの方法

カードローンなどの個人向け貸付への申込みを検討する場合、総量規制の関係上、申込先の会社が貸金業者か非貸金業者であるか把握しておきましょう。

例えば、安定した収入がない専業主婦などの場合、総量規制の影響を受ける貸金業者からの借入が不可能なため、申込みには貸金業者を選択肢から外す必要があります。

こういった時に是非チェックしたいのが、貸金業者の登録番号と金融庁の「登録貸金業者情報検索」です。この2つを使って、その会社が貸金業者かどうか確認できます。

①登録番号を確認する

貸金業を営むには、内閣総理大臣または各都道府県知事の認可を受け、貸金業者として登録される必要があります(貸金業登録 貸金業法3条)

貸金業登録をすると登録番号が付与され、貸金業者であれば会社資料や公式HP上のどこかにこの登録番号を必ず記載しています。この番号の有無をチェックするだけでも、その会社が貸金業者であるかどうかを判断することができます。

街金や闇金と呼ばれる業者の中には、貸金業登録を行わず登録番号を持たない違法業者が存在します。違法業者は法外な高金利で個人向け貸付をしたり、恫喝や暴力のような違法な取り立てをすることがあるので、関わりを持たないようにしましょう。

違法業者の中には貸金業登録の登録番号を偽造しているところも存在します。このような違法業者にだまされないよう、登録者番号を確認した後は、次の方法でダブルチェックすることをおすすめします。

②登録貸金業者情報検索を活用する

金融庁は、公式HP上で貸金業者を簡単に検索できる「登録貸金業者情報検索サービス」を提供しています。

この登録貸金業者情報検索サービスは、登録番号や所在地、商号・名称などから、その会社が貸金業者であるかどうか確認出できるサービスです。

借入の申込みを検討する際、その会社が貸金業者かどうか、登録番号が偽装されていないか確認できます。

まとめ

  • 総量規制は改正貸金業法に含まれる規定のひとつ
  • 総量規制は消費者金融などの貸金業者に適用される
  • 総量規制は銀行などの非貸金業者には適用されない
  • 貸金業者なのかは、登録番号や登録貸金業者情報検索サービスで確認できる