カードで買い物をした時に、「お支払い方法は?」と聞かれます。その時、何気なく選んだ支払い方法によって、思わぬコストが発生しているかも知れません。今回は、支払い方法によってどのくらい支払手数料が変わってくるものなのか、シミュレーションを交えて検証します。
支払い方法の種類
クレジットカードの支払い方法はたくさんありますが、大きく分けると3種類です。
「分割払い」「ボーナス払い」「リボ払い」です。
分割払い
分割払いは、1回払い、2回払い、3回払い、5回払い、6回払い、10回払い、12回払い、15回払い、18回払い、20回払い、24回が選択できます。最大24回が一般的ですが、中には60回までOKというカードもあります。
ボーナス払い
ボーナス払いには、ボーナス一括払い、ボーナス2回払いがあります。ボーナス一括払いは次のボーナスで全額支払うもので、たとえば6/21~11/20の間で買い物をしたら、支払いは1/2、11/21~6/20なら8/2、というように決められています。ボーナス2回払いは冬と夏のボーナス2回に分けて支払うもので、たとえば1年のどこかでした買い物を1/2と8/2に分けて支払います。
リボ払い
リボ払いは、毎月一定の金額を返済するものです。分割なら買い物の金額が大きければ月々の返済額が大きくなりますが、リボ払いはいくら買い物しても支払額は一定です。そのかわり支払期間が長くなります。
「定額方式」と「残高スライド方式」があり、定額方式なら毎月設定された支払額を返済します。
さらに定額方式には「元利定額」と「元金定額」があり、たとえば月々の返済額が1万円の場合、1万円に手数料が含まれるのが「元利定額リボ払い方式」、1万円に手数料を加えた金額を返済するのが「元金定額リボ払い方式」です。残高スライド方式は、あといくら支払うべき金額が残っているかで月々の返済額が決められています。
支払手数料なしは「1回払い・2回払い・ボーナス1回払い」のみ
分割払いは3回払いから、ボーナス払いは2回払いから、リボ払いはすべての方式で支払手数料がかかります。つまり、クレジットカードの支払い方法で手数料がかからないのは、1回払い(一括)、2回払い、ボーナス1回(一括)払いのみということになります。
分割払い | ボーナス払い | リボ払い |
1回払い | ボーナス1回払い | リボ払い (定額方式、残高スライド方式) |
2回払い | ||
3回以上払い | ボーナス2回払い |
1回払いで手数料がかからないのは分かりますが、2回払いも無料なのは意外と知られていないのではないでしょうか。一括で支払うのがためらわれる場合は、2回払いにすれば月々の負担が半分で済みます。ただし、ポケットカードやライフカードのように2回払いでも手数料がかかるクレジットカードがあるので要注意です。
ボーナス1回払いも手数料はかかりません。忘れていたころに支払いが来るので負担感がなくて良いですが、うっかりボーナスをアテにして使いすぎるところが難点です。また、ボーナス2回払いになると4%~8%ほど手数料がかかります。ボーナス1回払いと混同しないようにしましょう。
リボ払いは方式を問わず手数料がかかります。
月々の支払いの楽さばかりがアピールされていますが、実は手数料が高くつくことを忘れてはいけません。
支払回数が多いほど手数料は増える
実際、支払手数料はどのくらいかかるものなのでしょうか?20万円の買い物をしたと想定して、支払回数別にシミュレーションしてみましょう。*利率はMUFGカードの例です。
分割払い
- 3回(12.25%)・・・ 4,080円
- 5回(13.5%)・・・・ 6,800円
- 6回(13.75%)・・・ 8,160円
- 10回(14.5%)・・・・13,600円
- 12回(14.75%)・・ 16,320円
- 15回(15%)・・・・ 20,400円
- 18回(15%)・・・・ 24,480円
- 20回(15%)・・・・ 27,200円
- 24回(15%)・・・・ 32,640円
20万円の買い物を24回払いにすると、なんと3万円以上の手数料がかかります。バーゲンやアウトレットでわざわざ値引きされているものを選んだ苦労も水の泡です。
今度はリボ払いでやってみましょう。日本クレジットカード協会の試算ツールがあります。同じく20万円の買い物をリボ払いにし、月々の支払額ごとに手数料をみていきます。
リボ払い(元金定額方式、年率15%)
- 50,000円・・・ 3,615円(4回)
- 40,000円・・・ 4,864円(5回)
- 30,000円・・・ 6,984円(7回)
- 20,000円・・・ 11,125円(10回)
- 10,000円・・・ 23,621円(20回)
- 5,000円・・・ 48,615円(40回)
月々の支払額を5,000円にすると、20万円の買い物が25万円にもなってしまう計算です。毎月の支払いを楽にしようとすると、とんでもない手数料がかかることが分かります。
どうしても一括や2回分割払いで払えない場合
1回払いや2回払い、ボーナス払いが手数料無料であることは重々承知でも、どうしても1回や2回で払えない場合もあります。そんな時は、できるだけ支払回数少なくするよう心がけましょう。
先ほどのシミュレーションで分かるように、支払回数が多くなるほど、支払う手数料は高くなります。分割の場合はできるだけ少ない支払回数のものを選びます。リボ払いは、毎月の支払額をできるだけ高くします。
注意しなくてはいけないのが、毎月の支払額を自分で設定できないタイプのリボ払いです。
残高50万円以下なら1万円など、残高に応じて支払額が設定されていると、多めに払いたくても払えません。
繰り上げ返済や返済額の臨時増額ができる場合は、なるべくやりましょう。できない場合はリボ払いではなく分割で支払います。
カード利用前に必ず規約の確認が大切です
何気なく選んだ支払い方法のために、実は手数料が高くつく例を見てきました。クレジットカードの分割払いは、間違いなく人々の生活を豊かにしてきました。本来ならお金を貯めないと買えないものでも、今すぐ手に入って後からゆっくり支払うことが可能になったのです。
一方で、利息を支払っているという感覚がないため、分割やリボ払いを利用すればいくらでもモノが手に入るものと誤解してしまいます。カードを利用する前に、必ず規約を確認してください。細かくて長くてそっけない規約を読むのは苦痛ですが、支払手数料については少なくとも以下のことくらいはチェックしておきたいところです。
- 支払回数ごとの分割手数料は何%か?
- 分割2回払いは手数料無料で可能か?
- ボーナス1回払い、2回払いは可能か?
- リボ払いの支払い方式は?
- リボ払いの毎月支払額は自分で設定できるか?
- 繰り上げ返済や臨時増額は可能か?
以上、支払手数料がかかる・かからないの境界線についてみてきました。
上手にクレジットカードを利用するためにも、カードの支払いルールについてはよく調べておきたいですね。