クレジットカードの中には、複数の機能をそなえた「一体型カード」と呼ばれるものがあります。たとえば銀行キャッシュカードとクレジット決済機能を1枚に集約したカードや、電子マネーの機能を搭載したカード、お店のポイントカードを兼ねているカードなどです。一体型カードの種類を整理し、メリット・デメリットについてまとめてみました。

一体型クレジットカード4タイプ

一体型カードは、本来複数持つ必要があるカードが1枚で済む、が最大のメリットです。

クレジットカードと何を組み合わせるかは用途によって異なります。

一体型カードはさまざまな種類が発行されていますが、大きく分けて「銀行キャッシュカード」「電子マネー」「ポイントカード」「会員カード」の4つに分類することができます。

種類カード例特徴
銀行キャッシュカード一体型三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行、ゆうちょ銀行などのクレジット機能付きキャッシュカード条件を満たせば入出金手数料無料になるなどの特典。生体認証ICキャッシュカードとして使えるケースも
電子マネー一体型楽天Edy、Suica、nanaco、iDなどの電子マネー機能を搭載したクレジットカード電子マネーのチャージ(入金)と買い物でポイントの2重取りが可能
ポイントカード一体型Tポイント、Ponta、楽天ポイントなどのポイントカードにクレジット機能が付いたもの1回の利用でお店のポイントとクレジットカードのポイントの2重取りが可能
会員カード一体型JAL・ANAなど航空会社、ヤマダ電機・ビックカメラなど家電量販店のほか、ホテル・百貨店等の会員カードにクレジット機能が付いたもの会員のお店でのポイント還元率が高いのが特徴。会員特典も充実。マイレージ会員カードの場合はマイルが貯まる

財布がかさばらないというメリットの他、さまざまな利便性や特典が期待できます。たとえば三菱東京UFJ銀行が発行する「三菱東京UFJ-VISAカード」では、インターネットバンキングに登録、カード引落円以上などの条件をクリアすれば、普通口座からの入出金手数料が無料になります。

電子マネーやポイントカードを兼ねたクレジットカードは、同じ金額を利用しても2回ポイントを得られるという特典があります。電子マネーは入金した時と利用した時、ポイントカードは加盟店での買い物とカード決済の2回にわたってポイントが付与されるためです。

会員カードと一体化したものはなんといっても会員特典の充実ぶりです。よく知られているのはANAカードやJALカードと一体化したクレジットカードで、他のカードよりも効率的にマイルと貯めることができます。家電量販店ではお店に貯まるポイントとクレジットカードに貯まるポイントが2重取りできて、しかもお店に貯まるポイントが利用額の10%など非常に優遇されているのが特徴です。

一体型クレジットカードは企業同士が提携して顧客を囲い込むことを目的としているので、利便性が高く特典が豊富なものが多くみられます。

1枚で3役や4役こなすカード

複数の機能が一体化したクレジットカードは何も2役とは限りません。1枚で3役も4役もこなすカードもあります。

<1枚4役のクレジットカード例>

カード例クレジットカード電子マネー銀行キャッシュカードポイントマイル
三菱東京UFJ-VISAVISAPASMO三菱東京UFJ銀行東急ポイント
みずほマイレージクラブカードセゾンSuicaVISASuicaみずほ銀行セゾン永久不滅ポイント
楽天ANAマイレージクラブカードJCB
VISA
Master
楽天Edy楽天ポイントANAマイル
TOKYU CARD ClubQ JMB PASMOVISA
Master
PASMO東急ポイントJALマイル
ビュースイカカードJCBSuica‎ビューサンクスポイント※定期券
イオンカードセレクトVISAWAONイオン銀行ビックカメラ

多機能な一体型カードは主に銀行系と交通系から多く発行されています。メインバンクとよく使う交通機関を組み合わせれば、かなり使い勝手の良い1枚になるでしょう。

  • クレジットカード
  • 電子マネーカード
  • 銀行キャッシュカード
  • お店のポイントカード
  • 航空会社のマイレージカード

これだけのカードがバラバラに財布にあったらずいぶんかさばります。スペースがすっきりするだけでなく、ポイント→電子マネーのチャージ、クレジット機能→電子マネーのチャージ、ポイント→マイルに変換など、カード内でお金をやりとりできる利便性もあります。

一体型クレジットカードのデメリット

あらゆる機能が1枚に集約されていることが一体型クレジットカードのメリットですが、そのメリットは裏返せばデメリットにもなります。

紛失するとすべて使えなくなる

仮にクレジットカードと銀行キャッシュカードが一体になったカードをなくしたとしたら、クレジットカード払いもできず現金を引き出すこともできない事態に陥ってしまいます。便利なものが1カ所に集中しているということは、何かあったときもいっぺんに困ることになってしまいます。

カードをなくした場合、カード会社に紛失届を出しますよね。それが1枚4役のカードとなると、クレジットカード会社・銀行・電子マネー事業者・マイレージデスクのそれぞれのコールセンターに連絡する必要があり、動揺している時にこの作業は大変です。

再発行手続きも大変

再発行となるとさらに話がややこしくなります。それぞれに再発行申請手続き、申請書や公的書類等の提出、手数料が必要になってきます。手数料は300円~1,000円といったところですが、4役となると手数料も4倍です。また、新たなカードが手元に届いて使えるようになるまでは少なくとも10日はかかります。

1つだけ解約することはできない

一体型クレジットカードは紛失時だけでなく解約時にも不便です。楽天EdyやSuicaなどの先に入金するプリペイド型の電子マネーと一体型のクレジットカードの場合、残高を使い切るかクレジット機能のない通常のカードに移行してからカードを処分する必要があります。

引っ越し等で利用する交通機関や銀行が変わり、4役のうち3役はまだ使うけれど1役が不要という状態になっても、そのまま使い続けるはめになります。

このように、一体型カードでは万が一の時の手間やコストが数倍かかることと、容易に他のサービスに乗り換えることができないことがデメリットです。

まとめ

一体型のカードは、1枚のカードに複数の機能が盛り込まれて便利である反面、紛失や解約が大変という特徴があることが分かりました。まるで多くの機能のうち1つでも不具合が起きたら使えなくなる家電製品のようですね。

しかし、クレジットカードはこれからどんどん多機能化していく時代です。決済するだけ、という単機能なクレジットカードは、将来的にはなくなっていく流れなのかもしれません。

一体型クレジットカードはメリットが大きいため大変魅力的ですが、長く使えそうな見込みがある時に選ぶことをおすすめいたします。