返済方式の特徴・オススメの返済方式・見分け方

リボ払いの返済方式って、いちいちチェックしている人は少ないのではないでしょうか。たしかに、「元利定額リボルビング方式」とか「残高スライドリボルビング方式」とかいわれても、ピンと来ないのは無理もありません。しかし、同じ利率のリボ払いでも、返済方式が違うと支払総額に大きな差が出てしまうこともあります。

ちょっと面倒だけどおさえておきたい、リボ払いの返済方式について解説していきます。

リボ払いの7つの返済方式〜よく使われているのはどれ?

リボ払いには7つの返済方式があります。カード会社がよく採用しているのは、下の表のうち太字になっている

  • 元金定額リボルビング方式
  • 元利定額リボルビング方式
  • 元金定額残高スライドリボルビング方式
  • 元利定額残高スライドリボルビング方式

です。

中でも「元金定額リボルビング方式」は多くのカード会社で採用されています。一方、定率の返済方式は今のところ見かけたことがありません。

方式
毎月の返済額
定額
元金定額あらかじめ設定した返済額+利息
元利定額あらかじめ設定した返済額(利息は返済額に含まれる)
定率
元金定率前月の残高に定率をかけて算出した返済額+利息
元利定率前月の残高に定率をかけて算出した返済額(利息は返済額に含まれる)
残高
スライド
元金定額
スライド
前月の残高によって決められた返済額+利息
元利定額
スライド
前月の残高によって決められた返済額(利息は返済額に含まれる)
元利定率前月の残高によって定率が変動

見慣れない言葉が並んで一気に読む気がなくなってしまうかもしれませんが、ここはひとつ我慢してください!

いくつかポイントを押さえるだけで、どの返済方式が有利かすぐに分かるようになります。一般的な、4つのリボ払いの返済方式の違いについてみていきましょう。

「元金」と「元利」の違い

「元金」がつく返済方式は、設定された返済額に利息(手数料)が含まれません。したがって返済額が5,000円の場合、5,000円+利息が月々の支払額です。一方「元利」の場合、設定された返済額には利息が含まれます。よって月々の支払額は利息を含めて5,000円です。

つまり返済額に利息が含まれるか含まれないかの違いなのですが、それによってどんな差があるのでしょうか?ポイントは以下の2点です。

  • 「元金」は毎月の支払額が完全には一定ではない
  • 「元利」は返済額に占める元金が少ないので返済が長くなる

「元金定額 vs 元利定額」〜返済額と支払総額の違い

利用金額が10万円、リボ払い手数料年率15%、月々の返済額を5,000円と仮定した場合、「元金定額」と「元利定額」では月々の返済額、支払総額にこのような違いがあります。

<元金定額>

返済回数返済額手数料元金返済額利用残高
1回目6,232円1,233円5,000円95,000円
2回目6,171円1,171円5,000円90,000円
(略)
19回目5,123円123円5,000円5,000円
20回目5,062円62円5,000円0円
返済回数支払総額支払利息支払元金
20回112,945円12,945円100,000円



<元利定額>

返済回数返済額手数料元金返済額利用残高
1回目5,000円1,233円3,767円96,233円
2回目5,000円1,186円3,814円92,419円
(略)
23回目5,000円67円4,933円526円
24回目533円6円527円0円
返済回数支払総額支払利息支払元金
24回115,533円15,533円100,000円

※あくまでも試算です。実際の金額はカード会社によって異なる場合があります。

まず月々の返済額を比べてください。「元利定額」は端数の時以外きっちり5,000円ですが、「元金定額」は手数料を加えるので毎月の返済額はやや高めで一定ではありません。カード会社のリボ払いの説明には「毎月のお支払いが“ほぼ”一定!」というものがありますが、それは「元金定額」であることを指しています。

「元金定額」は「元利定」に比べて月々の支払い額は高くなりますが、そのぶん返済も早く終わります。しかし「元利定額」は返済額のうち利息が占める割合が高いので、元本がなかなか減らず返済期間が長くなります。その結果、表にみられるように、「元利定額」は「元金定額」よりも最終的に支払う総額が高くなってしまいます。

「定額」と「残高スライド」の違い

「定額方式」とは、利用額や残高にかかわらず、月々の返済額が常に一定の返済方式です。返済額は所定の範囲内なら利用者が自由に設定することが可能です。

「残高スライド方式」とは、残高に応じて月々の返済額が決まっている返済方式です。金額はカード会社によって異なりますが、一般的に残高が多いと返済額も高くなります。残高が10万円超なら月々1万円、10万円以下なら5,000円といったイメージです。返済額を利用者が自由に設定することはできませんが、カード会社によっては「短期コース(=支払額多め)」や「長期コース(=支払額少なめ)」を選べるところがあります。

「定額」と「残高スライド」では、どちらが有利かという議論は成り立ちません。「定額」の金額をいくらにするか、「残高スライド」の設定額がいくらになっているかによって結果が変わってくるからです。

JCBのシミュレーションツールで、リボ払い手数料年率15%、月々の返済額1万円とし、利用金額が10万円のケースと20万円のケースそれぞれを試算してみました。

利用金額10万円の場合

<定額>

返済回数支払総額支払利息支払元金
10回106,666円6,666円100,000円

<残高スライド>

返済回数支払総額支払利息支払元金
10回106,666円6,666円100,000円

利用金額20万円の場合

<定額>

返済回数支払総額支払利息支払元金
20回225,835円25,835円200,000円

<残高スライド>

返済回数支払総額支払利息支払元金
15回216,461円16,461円200,000円

10万円までなら「定額」でも「残高スライド」でも変わらないのに、20万円になると「残高スライド」の方が返済回数は少なく、支払総額も少なめになっています。これはJCBでは10万円超と以下では「残高スライド」の返済額が異なるためです。

「残高スライ」ドは、残高が高いうちは月々の返済額が多く、だんだん少なくなる特性があります。利用金額が高いのに「定額」にすると返済期間が長くなって支払総額がふくらむおそれがありますが、「残高スライド」はそのリスクを軽減してくれます。

ただし、「残高スライド」は残高が少なくなると返済額も小さくなってなかなか返済が終わらないという特徴もあるので、いつでも「残高スライド」が「定額」よりも有利とは限りません。どちらの支払総額が少なくて済むかは、借入金額や返済期間、希望する月々の返済額から試算するほかなさそうです。

各カード会社のホームページでは自社のルールに基づく試算ツールを提供しているので、それを活用するようにしましょう。

返済方式の名称が明示されていない時の見分け方

返済方式の違いを頭に入れていると、支払コースの選択をする時や、どちらのカードにしようか迷っている時に、「支払い方法が元利方式だと返済が長引いていやだなぁ」と、重要な判断材料になります。

ただ困ったことに、カード会社は「このリボ払いの返済方式は〇〇方式です」と親切に明示されていない場合があります。そんな時は、支払い方法の説明を見てこちらで判断するしかありません。


見分け方としては、

  • 利息が返済額に含まれない → 「元金方式」
  • 利息が返済額に含まれる → 「元利方式」
  • 月々の返済額を利用者が設定できる → 「定額方式」
  • 月々の返済額が残高によって決められている → 「残高スライド方式」

たとえば、月々の返済額が残高によって異なり、利息が返済額に含まれていない場合は、「元金定額残高スライド方式」となります。また、月々の返済額を利用者が指定できて、利息が返済額に含まれる場合は「元利定額方式」となります。

返済方式についてまとめ

それぞれの返済方式の特徴をまとめると、以下のようになります。

メリット
デメリット
元金方式元利方式に比べて支払総額が少ない月々の返済額が完全には一定ではない
元利方式月々の返済額が一定で分かりやすい元金方式に比べて支払総額が高くなる
定額方式月々の支払額を設定できる設定額を小さめにすると返済が長引いて支払総額が高くなる
残高スライド方式残高が多いと返済額が高めなので返済が長引かない月々の返済額はカード会社が設定する

利息を払い過ぎないコツとしては、返済額を設定できる「定額」方式の場合、あまり返済額を小さくし過ぎないことです。また、どの方式でも設定金額よりも多く支払うことができますので、余裕がある時はできるだけ繰り上げ返済や追加返済をするようにしましょう。

このように、返済方式の種類によってリボ払いの返済には大きな違いがあることがわかりました。

当サイトとしては、より支払総額が少なくなる方法をオススメしたいですが、人によっては高い利息を払っても月々の返済を楽にしたいという状況もあるので、その時に合った返済方式を選ぶのが良いでしょう。