2016年4月からスタートした電力自由化。各家庭が自由に電力会社を選べるようになりました。電力会社によっては、指定するクレジットカードを持っていることでさまざまな特典があります。ポイント還元率アップやガソリン代の割引・・・電力自由化+クレジットカードによる「セット割」に注目です。

電力自由化とクレジットカードの関係とは?

これまでは、住んでいる地域の大手電力会社から電気を買うのが一般的でした。関東なら東京電力、名古屋なら中部電力、大阪なら関西電力といった具合です。しかし電力自由化により、電力会社は自由に選べるようになりました。たとえば大阪に住んでいる人が東京電力と契約することも可能です。

また、規制緩和で異業種からの参入も認められるようになったため、ソフトバンクやパナソニック、昭和シェル石油など「新電力」と呼ばれる業者がぞくぞくと新規参入してきています。

電気事業者が増えたことによって、競争が生まれました。そのため、各業者はさまざまな特典で顧客を得ようとしています。代表的なものが「セット割」です。電気+都市ガス、電気+携帯電話など、他のサービスとセットで契約してもらうことで、利用者は何らかの特典を得ることができます。電気と組み合わせられるものは数多くありますが、クレジットカードもその一つです。

新電力に多いクレジットカードとの提携

ガスや携帯電話を電気とセットで契約すると、「毎月300円割引」「電気代1万円以上から10%割引」などの割引が受けられます。一方、クレジットカードと電気をセットで契約した場合、ポイント還元率の上乗せや、ガソリン代が安くなるなどの特典が得られます。

クレジットカードと提携している電力会社は、新電力と呼ばれる新規参入組に多いようです。実際に特典を得るためには、新電力と契約して対象のクレジットカードで電気料金の支払いをします。電力会社を乗りかえても電気の安定性や供給力には何の影響もありません。

調べたところ、電力とクレジットカードとの組み合わせパターンは、以下のように集約できます。

  • ガソリンスタンド系クレジットカード × 石油系電力会社
  • 交通系クレジットカード × 石油系電力会社
  • 通信系クレジットカード × 大手既存電力会社
  • 流通系クレジットカード × 流通系電力会社

石油系電力会社とクレジットカードの組み合わせでは、ガソリン代の割引という形で特典が得られます。同系列のガソリンスタンドで給油すれば、リッターあたりいくらの割引、といったイメージです。また、組み合わせによってはポイント還元率がアップするケースもあります。

それ以外の電力会社では、クレジットカードのポイントを上乗せというケースがほとんどです。

もともとの還元率が0.5%で、さらに0.5%が上乗せされ、合計1%の還元といった具合です。電気代が割引になるケースは、現在のところ見当たりません。

詳しく見ていきましょう。

電気とクレジットカードの「セット割」の例

クレジットカードと電力の「セット割」の中身が充実しているのは「ENEOS(エネオス)でんき」です。

ガソリンスタンドを運営するJXエネルギーは、早くから自社の発電設備で法人向けに電気を供給してきた実績があります。そのJXエネルギーが個人向けにも電気小売りに参入して作ったのがENEOSでんきです。

ENEOSカードとENEOSでんきの組み合わせ

既存の電力会社からENEOSでんきに乗りかえて、JXエネルギーが発行するENEOSカードで電気料金を支払うと、ガソリン代が割り引かれます。

クレジットカードもともとの特典→ → →

ENEOSでんきと契約することで・・・

→ → →

追加特典
ENEOSカード Sガソリン・軽油が2円/1ℓ引き
灯油が1円/1ℓ引き
1,000円買い物ごとに6ポイント還元
ガソリン・軽油・灯油がさらに1円/1ℓ引き
ENEOSカード PSS利用代金1,000円ごとに30ポイント還元
ENEOSカード Cカード利用代金に応じてガソリン・軽油が最大7円/1ℓ引き

ENEOSカードはもともとガソリン代の割引やSS(サービスステーション)でのポイント還元などの特典が付いていますが、ENEOSでんきと契約することでさらに多くの割引が受けられます。

提携カードとENEOSでんきの組み合わせ

ENEOSカードを持っていなくても、提携カードがあればポイント還元の特典を受けることができます。もともとは還元率0.2%~1%程度と一般的な水準のカードが、電力会社を乗りかえるだけで1.5倍から2倍にもなります。

クレジットカードもともとの特典→ → →

ENEOSでんきと契約することで・・・

→ → →

追加特典
ANAカードマイル付与なしマイル付与
200円(税込)=1マイル
ビューカード1,000円(税込)につき2ポイントポイント2倍
1,000円(税込)につき4ポイント
TS CUBIC カード1,000円(税込)につき10ポイントポイント1.5倍
1,000円(税込)につき15ポイント
エポスカード200円(税込)につき1ポイントポイント2倍または4倍
200円(税込)につき2ポイント
ゴールド・プラチナカードなら4ポイント
レクサスカード1,000円(税込)に10ポイントポイント1.5倍
1,000円(税込)につき15ポイント
エムアイカード200円(税込)につき1ポイントポイント2倍
100円(税込)につき1ポイント

下はその他の組み合わせです。

ENEOSでんき以外にも、電力会社とクレジットカードの組み合わせによる特典があります。

クレジットカード電力会社得られる特典
dカード中部電力ポイント2倍
100円(税込)で2ポイント
TOKYU カード東急パワーサプライ電気料金の1%をポイント還元
シェルスターレックスカード昭和シェル石油東京電力管内の昭和シェル石油SSでガソリン10円/1ℓ引き

※キャンペーンは掲載しておりません

大手既存電力会社には珍しく、中部電力はNTTドコモグループが発効するdカードと提携しています。中部地方在住のドコモユーザーはぜひチェックしてみてください。

ENEOSに対抗して昭和シェル石油の電気事業もクレジットカード利用によるガソリン値引きの特典があります。東京電力管内ですから関東に限られますが、値引き率はENEOSよりも大きめです。

東急グループも新電力に参入していて、東急カードを持っている人は特典が期待できるところですが、クレジットカード利用代金ではなく電気料金の1%がポイント還元されるだけなので、あまり大きなメリットではありません。

クレカと電気の組み合わせに向いている人

クレジットカードと電力会社にセットで加入することでさまざまな特典があることが分かりました。これまでの説明を踏まえて、クレジットカードと電気契約の組み合わせによってメリットが大きそうな人を検討してみました。

ガソリンをよく使う車ユーザー

石油系の企業の電気とクレジットカードを利用することで、ガソリン代の割引やポイント還元を受けることができます。特に車が主な移動手段で、年間を通してガソリンの使用量が多い方にはおすすめです。対象となるサービスをおこなっているのはENEOSと昭和シェル石油です。ENEOSは対象となるクレジットカードの種類が多く、昭和シェル石油は割引額が大きめです

先ほど紹介したクレジットカードをすでに持っている人

セット割にはメリットがありますが、わざわざクレジットカードを作るほどではないかも知れません。したがって、手持ちのカードにENEOSカード、ANAカード、ビューカード、TS CUBIC カード、エポスカード、レクサスカード、エムアイカード、dカード、東急カード、シェルスターレックスカードがある方が、新電力に乗りかえることで特典を得られたらラッキー、くらいの姿勢で良いと思います。

割引やポイントばかりでなく電気料金と合わせて比較しましょう

電力自由化にともない、クレジットカードと電気をセットで契約することでさまざまな特典があることをご紹介してきました。これは2016年9月末時点の情報ですが、今後も新たなサービスが追加されていくことが考えられます。

ただし、割引やポイント付与ばかりに目を奪われるのではなく、肝心の電気料金がどうなるかの比較は怠らないようにしましょう。ポイントが倍になっても電気料金が今より割高になっては意味がありません。クレジットカードと電気の組み合わせで割引を期待する場合は、まず電気料金がどう変わるのはシミュレーションしてからにしましょう。