「最大補償額」のワナ・旅行保険で本当に必要な補償とは?

海外旅行保険でクレジットカードを比較するとき、「最高2,000万円」といった「最大補償額」に目がいってしまいませんか?これは、カード付帯の海外旅行保険の落とし穴です。何でも2,000万円まで補償してもらえると思って海外に行くと、いざという時に使えない危険性があります。ここでは、本当に注目すべき海外旅行保険の比較ポイントについてご説明します。

旅行保険の補償額はトラブルごとに決められている

冒頭で述べた「最高2000万円」とよく表記されているのは、実は「傷害死亡」の補償額です。海外旅行中に事故によるケガで死亡した場合にのみ適用されます。

しかし、海外旅行ではさまざまなトラブルがつきものです。ケガや急な病気による治療費や入院代、カメラや時計などの高価な持ち物の盗難や破損、現地で身動きが取れなかった時に家族に迎えに来てもらう時の移動費、偶然の事故で他人にけがをさせてしまったり、ホテルの備品を壊してしまったりした時の賠償金が必要になった時、カードの保険はどこまで補償してくれるのでしょうか?

海外旅行保険はトラブルごとに補償してもらえる金額が決められています。たとえば、「ケガで死亡した場合は2,000万円」「ケガや病気の場合は100万円」「携帯品の損害は20万円まで」といった具合です。

上の例の保険で、治療費に300万円かかった場合、「2,000万円の保険が付いているから大丈夫」と考えてしまうのがよくある誤解です。

実際に補償されるのは100万円まで、残りの200万円は自己負担するしかありません。

このように、クレジットカードの海外旅行保険を比較するときは、トラブルごとの補償額がどうなっているか確認する必要があります。

最も比較すべきなのは「死亡補償」ではなく「治療費」!

海外旅行保険の保険金の支払いの内訳は保険会社や調査時期によって異なりますが、たとえば2013年の東京海上日動調べによると、保険金支払いの占める割合は以下のようになっています。

順位保険金の支払い割合
1位治療費(疾病治療費用)59%
2位治療費(傷害治療費用)17%
3位携帯品損害11%
4位死亡・後遺障害10%
5位救援者費用3%
6位賠償責任1%

海外旅行保険の保険金の支払いで一番多いのは「治療費」です。なんと、7割を超えています。

海外では、虫垂炎で入院しただけで医療費が100万円以上かかるなんてことはよくあります。日本では考えられないような病気にかかることもしばしば、普段健康だからといって油断はできません。アジアの都市部では交通事故も多発しています。

治療費だけではありません。もし足を骨折して身動きが取れなくなった場合、現地まで家族に迎えに来てもらう必要があります。この時、「救援者費用」が補償に入っていないと、さらに何十万円も費用がかかることになります。

「携帯品損害」についても見過ごせません。貴重品が入ったバッグをひったくられたり、車上荒らしにあったりすることは海外では珍しいことではなく、犯人が捕まって戻ってくることはまれですから、保険金でカバーできると安心です。

このように、海外旅行保険を比較する場合は、金額の大きな「死亡・後遺障害」だけでなく、最も使われる「治療費」に注目するべきであることが分かります。

できれば、携帯品損害、救援者費用も同時にチェックしておきたいところです。

年会費と補償内容の比較

ここで、ある2つのカードを比較してみましょう。ひとつは年会費が有料で死亡補償の最大補償額が大きめのカード、もうひとつは年会費無料で最大補償額がひかえめなカードです。

ANA JCB一般カードエポスカード
年会費2,000円(初年度無料)無料
死亡・後遺障害1,000万円500万円
治療費なし疾病270万、傷害200万
携帯品損害なし20万円
救援者費用100万円100万円
賠償責任なし2,000万円

一見、年会費が2,000円の「ANA JCBカード」の方が手厚いように見えますが、実は治療費・携帯品・賠償責任に対する補償がありません。一方エポスカードは、死亡補償こそ少なめですが、最も利用率が高い病気の治療費が270万円、ケガの治療費も200万円と高額です。治療費以外の補償もカバーできています。

もちろん海外旅行保険以外にも比べるべき要素はありますから、JCBカードがスペックで劣るという意味ではありませんが、もし海外旅行保険でクレジットカードを選びたいと考えているなら、「年会費が高ければ、海外旅行保険の中身も充実しているわけではない」という点を覚えておいてください。

クレジットカードに付帯している海外旅行保険は、一般的な旅行保険とは異なる点があります。利用する前に、以下の4つの点についておさえておきましょう。

クレジットカードの海外旅行保険で気をつけるべきこと4つ

自動付帯と利用付帯

自動付帯とは、クレジットカードに入会していると自動的に適用される海外旅行保険のことです。利用付帯とは、カードを持っているだけでは適用されませんが、パッケージツアー代金や公共交通乗用具(バス、タクシー、電車、船舶、飛行機など)の支払いにカードを利用した時点で適用される付帯保険です。

基本的には、自動付帯の方が安心です。利用付帯でもカードを使いさえすれば自動付帯と同じように保険が使えますが、適用条件がカード会社ごとに異なっているので、複雑で使いにくい面があります。たとえば付帯の条件として、パッケージツアー料金はOKでも個人旅行料金はNGというものがあったり、出国前に旅行代金を支払わないと適用されないものがあったりします。そういった細かい確認が苦になる人は、はじめから自動付帯のカードを選んだ方がいいでしょう。

「医療費キャッシュレスサービス」がないこともある

医療キャッシュレスサービスとは、現地で医療費を立て替える必要がないサービスです。一部のクレジットカードの付帯保険にはこのサービスがついていません。そのため、ひとまず自己負担で支払いをする必要があります。もし支払い能力を超える医療費が発生してしまったら、最悪の場合治療を断られるケースもあることを考えると、医療キャッシュレスサービスがあるカードを選びたいところです。

3ヶ月(90日)が限度

クレジットカードの付帯保険の補償期間は90日間です。3ヵ月以上海外に滞在する場合は、一般の海外旅行保険に加入する必要があります。

よく保証期間を90日以上に延長する方法として「複数の利用付帯のカードを使い、1枚の補償期間が過ぎたら次のカードで公共交通料金を支払って新たに保険適用させる」という裏技が紹介されていますが、よほど気をつけないと危険です。出国前にそのカードで代金を支払うことが条件となっている場合、現地でいくらカードを使っても保険は有効にならないことがあるからです。

旅行中の病気で死亡は対象外

クレジットカードの一般的な付帯保険は、旅行中の病気による死亡は補償の対象外となっています。支払いの対象となるケースをよく確認すると、「疾病死亡」ではなく「傷害死亡」となっているはずです。クレジットカードの付帯保険では、たとえば現地で急な肺炎にかかって死亡しても保険金を受け取ることはできません。

どうしても旅行中の病気による死亡が心配な場合は、3ヵ月以上の海外滞在と同様、一般的な海外旅行保険に別途加入することが必要です。

まとめ

以上、クレジットカードの海外旅行保険の比較方法と注意事項についてみてきました。再度比較ポイントについておさらいしてみましょう。

  • 一番よく使われる「治療費」に注目!
  • 「最大補償額」はケガによる死亡の時にだけ適用される金額
  • 死亡補償が少なくても治療費が手厚い年会費無料カードもある
  • 利用付帯より自動付帯のほうが安心
  • クレジットカードの付帯保険で不安な場合は一般の保険加入を

いかがでしたか?海外旅行保険が付いていることを宣伝しているクレジットカードでも、中身を詳しくみると意外と使えないなんてことも。海外旅行保険でクレジットカードを選ぶなら、死亡補償、治療費、携帯品損害、救援者費用、賠償責任ごとに補償内容を比較することが大切です。