銀行系・航空系・流通系など9種類

あなたに必要なカードは、銀行系でしょうか、航空系でしょうか。現在、日本にはクレジットカードの種類が1,000以上もあるといいます。この中から1枚を探すのは大変ですが、系統別の特徴を知っておくとカード選びの重要な手がかりとなります。

系統の分け方はさまざまですが、ここでは以下のように9種類に分類してそれぞれの特徴をみていきます。

銀行系 ②信販系 ③消費者金融系 
石油系 ⑤自動車系 ⑥航空系
鉄道系 ⑧流通系 ⑨その他系

銀行系クレジットカードの特色

銀行系クレジットカードとは、大手都市銀行や地方銀行本体、もしくは関連会社が発行しているカードです。「三井住友VISAカード」や「三菱東京UFJ VISA」など、カード名に銀行名がついていることが多いのが特徴です。

銀行系クレジットカードのメリットは、セキュリティ度が高く安心感があり、ATM時間外手数料が無料になるなどの銀行と連動したサービスが受けられることです。また、海外旅行傷害保険やツアーデスクなどのトラベル関係の付帯サービスが充実していることが多く、上位カードのラインナップが充実しているため、上のカードを目指していきたい方に向いています。

しかし、スーパーなどの流通系カードに比べるとポイント付与率が低い傾向があるのがデメリットです。

<銀行系クレジットカードの主な例>

カード名年会費ATM時間外手数料主な旅行保険特色
三井住友VISAカード1,250円条件付き無料海外旅行傷害保険
(最高2,000万円)
提携企業・キャンペーン多数
三菱UFJニコス無料
海外旅行傷害保険
(最高500万円)
ネットショッピング利用でポイント付与
みずほマイレージクラブカード/ANA無料条件付き無料
ANAマイル、クレディセゾン永久不滅ポイントがたまる

信販系クレジットカードの特色

昔は「クレジットカード=信販」というイメージでしたが、最近では銀行に吸収されたり他業種と提携したりすることが多く、信販系ならではの特色を出すことは難しくなっています。かつての日本信販が三菱UFJニコスとなり、ダイエー系のOMCカードがセディナとなるなど、金融ビッグバン以降業界再編がはげしかったことも信販系のイメージが定着していない一因でしょう。

しかし、高ポイントと還元率や有効期限を設けないポイントシステムなど、ポイントサービスを売りにした存在感のあるカードがいくつかみられます。

<信販系クレジットカードの主な例>

カード名年会費特色
オリコカードTHE POINT無料高ポイント還元率、2015年11月末時点で価格.comで人気No1。
セディナカード無料セントラルファイナンス、クオーク、ダイエー系のOMCカードが合併してできた信販会社。
セゾンカード無料ラインナップ多数。永久不滅ポイントが有名。みずほ銀行と提携。

消費者金融系クレジットカードの特色

消費者金融系のクレジットカードのメリットは、何といってもその発行スピードの早さです。一般的なクレジットカードはカードが手元に届くまで2~3週間かかってしまいますが、消費者金融系なら即日受取が可能です。また、あくまでも推測ですが、銀行系や信販系に比べると審査がゆるめだという話もあります。

かつては「プロミスJCBカード」や「アイフルMasterCard」などもありましたが、現在はいずれも募集を停止しており、生き残っているのはアコムのクレジットカードのみです。

<消費者金融系クレジットカードの主な例>

カード名年会費発行スピード特色
アコムACマスターカード無料最短即日。自動契約機(むじんくん)で当日受取可カードローン機能と一体型カード

石油系クレジットカードの特色

石油系クレジットカードとは、出光興産やJXホールディングスなどの石油元売り会社が発行するクレジットカードです。カード会員になることでガソリンが値引きされることが大きな特徴で、ガソリンスタンドで給油中にセールスを受けた人も多いのではないでしょうか。

石油系ということで、ガソリン価格割引が一番のメリットです。各社で割引率は異なりますが、ガソリン・軽油が1リットル当たり2円割引となっているのが一般的です。ひと月に2回・ガソリン100リットル給油すると年間2,400円の節約となる計算です。車通勤の人や車を使う仕事をされる人に向いています。ガソリン割引のほか、ロードサービスやメンテナンス割引もついています。

しかし、週末ドライバーや近距離ドライバー、ハイブリッド車を乗っている人は無理に石油系でなくても良いでしょう。

<石油系クレジットカードの主な例>

カード名年会費ガソリン値引きロードサービス特色
出光カードまいどプラス無料ガソリン・軽油2円/ℓ
灯油が1円/ℓ
あり
(有料)
「ウェブ明細」選択で最大300円キャッシュバック・毎月10ポイント
コスモ・ザ・カード無料ガソリン・軽油が会員価格(※店舗による)
イオン銀行との提携

自動車系クレジットカードの特色

自動車メーカーもしくはその関連会社が発行しているクレジットカードです。自動車関係ということで、ガソリン値引き・ロードサービス・レンタカー割引・駐車場割引など多彩なサービスが受けられます。カードラインナップの中にはETC一体型やJAF一体型などもあります。好きなメーカーが決まっていて車や部品の購入・修理の際ディーラーをよく使う方は、お気に入りのメーカーのカードを作るとよいでしょう。

ただし、年会費がかかることが多いので、ガソリン値引きやポイントだけが目的なら、他のカードの方が優れている場合があるので要注意です。

<自動車系クレジットカードの主な例>

カード名年会費ガソリン値引きロードサービスその他
TOYOTA TS CUBICカード1,250円あり
(ENEOSと提携)
ありレンタカー最大25%割引
ジェームズ5%割引
日産カード1,250円あり
(出光と提携)
ありレンタカー15%割引
ディーラー利用5%割引
マツダm’z PLUSカードセゾン無料あり
(ENEOSと提携)
ありレンタカー15%割引

航空系クレジットカードの特色

ANAやJALが発行しているクレジットカードです。マイルを貯めるのに最適で、海外旅行保険や国内旅行傷害保険が充実しているのが特徴です。

マイルを貯めるには買い物をしてショッピングマイルを貯める、他のポイントと交換する方法がありますが、やはりマイルは「乗って貯める」のが一番効率的です。ショッピングマイルは平均して100円につき1マイルですが、搭乗マイルは東京→大阪間を1回飛ぶだけで280マイルです(普通運賃)。また、他ポイントの交換率は年々悪くなる一方で、これから交換率がアップすることはあまり期待できません

<航空系クレジットカードの主な例>

カード名特典加盟航空提携グループその他
ANAカード搭乗区間マイル
ボーナスマイル
ショッピングマイル
スターアライアンス各種旅行保険
グループ提携店での割引
自動チェックイン機能
JALカード搭乗区間マイル
ボーナスマイル
ショッピングマイル
ワンワールド各種旅行保険
特約店でマイル2倍

鉄道系クレジットカードの特色

JRや私鉄が発行しているクレジットカードです。新幹線や特急が割引価格で購入できたり、SuicaやPASMOといった電子マネーに自動でチャージできたりします。切符購入・定期券購入・ICカードチャージ・提携店利用のたびにポイントを貯めることができるので、毎日通勤や通学で鉄道を使う人に向いています。

クレジットカードとしてはどこでも使えますが、ポイントは対象範囲内でしかつかないので、たとえばSuicaであれば首都圏に住んでいない人には不要でしょう。

<鉄道系クレジットカードの主な例>

カード名発行会社対象ICカード主な特典
VIEWカードJR東日本Suica新幹線・特急の割引きっぷ
Suicaオートチャージ
定期券一体型カード
To Me CARD東京メトロPASMOPASMOオートチャージ
メトロポイントとカード会社ポイント同時付与
OPクレジット小田急電鉄
小田急ポイント付与
TOKYU CARD東急電鉄
TOKYUポイント付与

流通系クレジットカードの特色

流通系クレジットカードとは、デパート・スーパー・コンビニ・専門店・ネットショッピング・家電量販店会社が発行しているカードのことです。ブランドの数だけ種類があるといっていいほど、多種多様なクレジットカードが存在します。日々の買い物でポイントが貯まり、割引を実感しやすいということもあって、主婦層を中心に絶大な人気を誇っています。

近ごろ勢いを増しているのはコンビニ系クレジットカードです。毎日利用する人はポイントが貯まりやすく、少額でも電子マネーの支払う人が増えていることから、電子マネー機能付きのカードが人気です。曜日や商品ごとにポイント加算率を変わるキャンペーンもみられます。

<流通系クレジットカードの主な例>

カード名たまるポイント特典
イオンカードWAONポイント毎月20日・30日は5%オフ
毎月10日は「Wポイントデー」
楽天カード楽天スーパー
ポイント
キャンペーン多数
ポイントは楽天市場で利用可能
エポスカード(マルイ)エポスポイントマルイ店舗で年4回10%オフ
海外旅行保険、イベント・レジャー施設割引
ゴールドポイントカード・プラスヨドバシゴールドポイントヨドバシカメラでポイント付与
購入商品90日間補償
カード会員特別価格
セブンカード・プラスnanacoポイントセブンイレブン・イトーヨーカドー・デニーズ・西武そごうほかVISA・JCB対象店舗
ローソンPontaカードPontaポイントPontaポイントを対象商品と交換
懸賞に応募
ファミマTカードTポイント火曜・土曜ポイント5倍
水曜レディースデー
対象商品ポイント付与

その他系クレジットカードの特色

クレジットカードの中には、これまでの8つの系統に当てはまらないものがあります。独立系と呼ばれるものや、他業種が提携して発行しているため分類が難しいカードは、「その他系」としてまとめてみました。

その他系クレジットカードの特色はさまざまです。たとえばNTTグループカードは通信料金に強いクレジットカードですが、旅行ツアー代金割引やガソリン割引もあります。ヤマダLABI ANAマイレージクラブカードはANAとヤマダ電機とクレディセゾンの提携カードで、飛行機に乗る以外の方法でANAマイルを貯めることができます。

このように、最近では「〇〇系」とくくることが難しいカードが多数みられるようになってきました。

<その他系クレジットカードの主な例>

カード名業種特典
NTTグループカード通信出光SSでのガソリン割引
プロバイダ料金割引・キャッシュバック
国内・海外旅行ツアー割引
au WALLET クレジットカード通信au携帯支払い・かんたん決済の2重でポイント付与
海外旅行傷害保険
SBIレギュラーカード通信海外旅行保険・国内旅行保険
SBIポイント付与
ヤマダLABI ANAマイレージクラブカード家電量販店&航空会社ヤマダポイント・セゾン永久不滅ポイント・ANAマイル

(まとめ)系統だけを見るのは時代遅れかもしれない

以上、クレジットカードを系統別にご紹介してきました。クレジットカードのそれぞれの系統の特色を把握しておくことはカード選びに役立つことは間違いありませんが、今後は系統だけでクレジットカードを判断することは難しい時代になりそうです。

その理由のひとつとして、他業種同士の提携が進んでカードを業態ごとに分けるのは難しくなった、ということが挙げられます。たとえば「ヤマダLABI ANAマイレージクラブカード」は流通系か航空系か信販系か迷うところです。「楽天カード」は今回流通系に分類しましたが、楽天銀行というネット銀行が発行しているのですから、銀行系といえなくもありません。

もう1つの理由は、各種カードで競争が激しくなった結果、業種に関係なくサービスを充実させるようになったことです。車に関係のない系統のカードでもロードサービスやガソリン割引が充実しているケースもあり、たとえば「NTTグループカード」は通信系のカードでありながら、ガソリンの割引率は「出光まいどプラス」より高くなっています。

このように、系統を見るだけではそのカードの特色を探ることはできなくなってきました。

これからの時代は系統別に加え、目的別や対象ポイント別にカードを比較する必要がありそうです。