ショッピング保険のメリット・「使えない!」派の言い分・活用法
カードで買い物した商品が盗まれたり壊れたりした場合、新しい商品代金や修理代を補償してくれる「ショッピング保険」。メリットが大きそうに見える反面、「使えない」「利用したことがない」といった声も聞かれます。
ショッピング保険のメリットとデメリット、その活用法についてみていきます。
ショッピング保険のメリットとは
ショッピング保険とは、クレジットカードで購入した商品の破損・盗難を補償してくれる付帯保険です。カード会社によって、「ショッピングガード保険」・「お買い物保険」・「ショッピングプロテクション」・「動産総合保険」など呼び方は異なりますが、いずれも同種の保険です。
ショッピング保険が付帯されているかどうかはカードによって異なります。かつてはゴールドカード以上のカードにしか付いていませんでしたが、最近では年会費無料のカードでも珍しくなくなってきています。
カードで決済したものであれば、落として壊してしまったもの、盗まれてしまったもの、火災の被害にあったものでも原則補償されます。修理が必要になったものであれば修理代を請求することも可能です。第三者に譲ったものも対象となるため、プレゼントしたものでも補償してもらえます。
補償額はカードにもよりますが、年会費無料から1,000円台のカードなら、年間100万円までが平均的な補償額です。ゴールドカードになると最高500万円というものまであります。補償期間は90日が一般的ですが、120日や180日間と長めに設定しているカードもみられます。
ただし、ほとんどのケースでは数千円から1万円の自己負担が求められます。それでも何万円、何十万円も台無しになるところを、少しの自己負担で商品が元通りになるのですから、かなりメリットの大きな保険に感じられます。
ショッピング保険が適用される事例
補償の対象となる事例には、たとえば以下のようなものがあります。
- 走行中のバイクに引っかけられて服に穴が開いてしまった
→偶然の事故による損害なのでOK - ホームパーティで高価なウェッジウッドのお皿を割ってしまった
→過失による落下でもOK - 海外旅行中に買ったばかりのブランドバッグが盗難にあった
→盗難による損害もOK - プレー中に高額なゴルフクラブを破損、修理が必要になった
→修理が可能な場合は修理代もOK - 彼氏の誕生日にプレゼントしたブランド時計を着脱時の不注意から破損
→第三者に贈ったものでもOK
上記は事例の一部ですので、他にも対象となるケースは多数あります。
ただし、どこで線引きするかはカード会社によって異なるので、あらかじめ公式ホームページやコールセンターなどで確認しておきましょう。
なぜ「ショッピング保険は使えない!」との声が多いのか
これほど手厚そうに見えるショッピング保険ですが、一方で「使いにくい」「アテにならない」といった評価も少なくありません。なぜ、ショッピング保険には否定的な意見が多くみられるのでしょうか?その理由をいくつかさぐってみました。
理由①「対象商品が限られるから」
カードで買い物したものならすべてが補償対象になるわけではありません。規定によれば、以下の商品は補償の対象にならないとなっています。
- 船舶・航空機・自動車・原動機付自転車・自転車等の乗り物およびこれらの付属品
- 義歯、義肢、コンタクトレンズ、メガネ等※
- 動物および植物
- 現金、手形、小切手、その他有価証券、印紙、切手、乗車券等チケット類
- 稿本、設計書、図案、帳簿その他これらに準ずるもの
- 食料品(酒類含む)
- 携帯電話・スマートフォン・ノートパソコン等電子機器類
- 絵画・美術品・骨董品
船舶や骨董品などは一般人には関係なさそうな気がしますが、メガネや携帯電話・パソコンが対象外なのは困りますね。酒類がダメということは、高級ワインなどが破損しても補償してもらえないということでしょうか。要するに、「値段がやや高くて壊れにくい」ものが対象となることのようです。
対象外になる品目はおおむね各社共通していますが、例外も見られます。気になる品目がある場合は各社に確認することが必要です。
理由②「紛失や配送による破損は対象外だから」
商品が破損した状況にも制約があります。まず、本人の大きな過失がある場合は補償されません。たとえば、「紛失」や「置き忘れ」、「間違った使い方による故障」です。また、設計・材質・製作方法などが原因で「製品にもともと欠陥があった」場合も対象外です。火災による損害は補償されますが、「地震や噴火・水害」などによる損害は不可です。さらに、商品の「配送中」に生じた損害も対象外です。
このように、対象商品だけでなく、損害を受けたシチュエーションによっても制限があることが分かります。特に、紛失やもともと製品に欠陥があった場合は補償されると間違われがちなので、よく覚えておいてください。
理由③「リボ払い限定、海外限定などの条件があるから」
保険適用条件に支払い方法や支払場所を追加しているところもあります。たとえば、三井住友VISAカードのクラシックカードは、支払い方法をリボ払いか3回以上の分割払いにしていないと保険が適用されません。つまり、支払手数料の発生する支払い方法でなくてはならないのです。買う時にあとで保険が必要になるかどうか分かる人はいないので、普段から支払い方法をリボか分割にしていないといけないということですが、そのために多額の手数料が発生してしまいます。
また、支払場所を海外に限定しているカードもあります。たとえばJCB一般カードです。海外旅行中に買い物した商品が対象なので、国内で被害にあっても補償はしてもらえません。
理由④「『利用控え』がないと補償してもらえないから」
最大のネックはもしかするとこれかも知れません。保険金の請求手続きをするには、クレジットカードの利用控え(売上票)が必要なのです。必要書類は各社異なりますが、利用控えはどこでも共通して提出しなければなりません。
利用控えは必ず保管しましょうというアドバイスをよく見かけますが、実際にはそう簡単なことではありません。利用明細と照合するまで保管する人も、引き落し日には処分します。なかなか90日(約3ヵ月)間や180日(約半年)間も、すべての利用控えを持ち続けている人はいないのではないでしょうか。
最近増えてきている「Web明細」で代用できないのかと問い合わせてみましたが、筆者が調べた限りでは“紙の”利用控えまたは売上票が必要、とのことでした。ショッピング保険は使えない!という意見の中には、こういった現実にそぐわない手続きルールがあるからではないかと思います。
それでもあったほうがいいショッピング保険〜その活用法
ではショッピング保険はなくてもいいかというと、それはあったほうがいいと言い切れます。一部対象外商品があるとはいえ、高級な食器やインテリアグッズ、バッグや服飾品、ゴルフ用品やテニス用品、ブランドの時計や一眼レフカメラなどは補償してもらえるのです。そんな保険がカードに付いているなら、使わない手はありません。
ショッピング保険が優れているのは、補償額が高額なことと、第三者に贈ったものでも補償されることです。たとえば似たような保険に「携行品損害保険」がありますが、平均的な補償限度額は10万~30万円程度です。ショッピング保険は少なくとも50万円~100万円が補償されます。また、携帯品損害保険は補償の対象となる物品を携帯していることが条件ですが、ショッピング保険ならカードで支払った物なら他人が保有しているプレゼントなどでも問題ありません。
ショッピングをよくする、うっかり盗られたり壊したりする可能性が高いと感じている方は、ショッピング保険の付帯したカードを選ぶのも良いかも知れません。
その場合、以下の点をよく比較してください。
- 対象商品
- 最大補償金額
- 補償期間
- 最高補償額
- 免責(自己負担額)
- 適用条件(支払い方法や国内/海外での利用など)
ショッピング保険の付いたクレジットカードの例
*スマホの方は横画面モードでご覧下さい。
カード名 | 年会費 | 購入からの 補償期間 | 年間最高補償額 | 1事故当たりの免責 (自己負担額) | 適用条件 |
イオンカード | 無料 | 180日以内 | 50万円 | なし | 1品5,000円以上 | エポスカード | 1,000円 | 90日以内 | 50万円 | なし | 損害額3千円以上 |
JCB一般カード | 1,350円 | 90日以内 | 100万円 | 1万円 | 海外利用のみ |
三井住友VISA クラシックカード | 1,350円 | 90日以内 | 100万円 | 3000円 | リボ払い・ 分割払い 3回以上利用 |
アメリカン・エキスプレス ゴールド・カード | 31,320円 | 90日以内 | 500万円 | 1万円 | – |
ショッピング保険のために高い年会費を払う価値があるかどうかは個人の判断になりますが、最近では年会費無料もしくは条件付き無料のカードでも付帯しているケースがあるので、ぜひチェックしてみてください。ただし、ショッピング保険のために支払を常にリボ払いや分割払いにすることはオススメできません。