付帯しているカード・補償されないケース・不正利用対策

クレジットカード会社から身に覚えのない請求が来たら、「盗難・紛失保険」で補償してもらえます。しかし、ネット通販などオンライン上で不正利用された場合、カード会社によっては補償してくれない場合があります。ネットショッピングが一般的になった今、オンライン不正利用補償がついたクレジットカードは必須といえます。

オンライン不正利用とは

オンライン不正利用とは、第三者が他人のカード情報を使ってインターネット上で不正利用することです。ネット通販では「カード番号」・「使用期限」・「名前」・「セキュリティコード」(必要でないことも)があれば、持ち主でなくとも簡単にカード決済が可能です。そのため、番号盗用によるクレジットカードの不正利用件数は年々増加しており、平成25年には被害額100億円を突破しました。

カード情報を不正に手に入れる方法は、昔は店舗などで情報を読み取られる「スキミング」が多かったのですが、最近では実在する銀行やクレジットカード会社を装った偽サイトに誘導して重要情報を詐取するフィッシング詐欺が横行しています。

また、よく利用するサイトがサイバー攻撃の被害にあう、顧客情報を登録している会社や組織が情報漏えいをおこす、といったことでも流出します。

カード会社もさまざまなセキュリティ対策をとっていますが、いたちごっこが続いているため、カード利用者も不正利用に対する備えが必要です。

「盗難・紛失保険」や「ショッピング保険」ではダメなの?

すべてのクレジットカードには「盗難・紛失保険」が付いていて、カードが盗まれるかなくした場合に被害額を補償してくれます。これにオンライン不正利用も含まれるという考え方もありますが、インターネット上での不正利用は確認が難しいことから、対象外としているカード会社もあります。

ならば、「ショッピング保険」が付いているカードなら大丈夫なのでは?と思うところですが、ショッピング保険はクレジットカードで買い物をした商品が補償の対象なので、第三者がオンラインで不正利用し、その請求を止めたいといったケースには適用されません。

盗難保険やショッピング保険の弱点をカバーしたものが、「オンライン不正利用保険」です。ネットショッピングが当たり前になってきた昨今、付帯保険も実情に合ったものが求められます。

「オンライン不正利用保険」を備えたカードは増えているが・・・

オンライン不正利用保険が付いていると明記してある主なカードを表にまとめました。

クレジットカード会社名サービス名対象カード
JCBJCBでe安心制度全てのカードに自動付帯
(提携カード含む)
三菱UFJニコス不正利用の補償全てのMUFGカード、DCカード、
NICOSカードに自動付帯
クレディセゾンセゾンオンライン・プロテクション全てのカードに自動付帯
アメリカン・エキスプレスオンライン・プロテクション全てのカードに自動付帯
(提携カード含む)
三井住友VISAカードVpassID安心サービスとはVpass登録会員
楽天カードネット不正あんしん制度全てのカードに自動付帯
Yahoo!カードネットセーフティサービス全てのカードに自動付帯
Jaccsカードネットあんしんサービス全てのカードに自動付帯
2016年2月現在

多くのカード会社では、カードの種類にかかわらず自動付帯になっています。少し前までは三菱UFJニコスとアメックスしかないイメージでしたが、ここ数年で対応するカード会社が急増しました。

上記のようにオンラインでの不正を明記していなくても、従来の盗難保険で対応してくれるクレジットカードもあります。ただし、個別に問い合わせないと分かりません。

多くのカードは大丈夫でしょうが、やはり「オンライン不正利用を補償します!」と明言しているところのほうが、安心感があります。

補償されないケースとは?

オンライン不正利用保険の付いたカードの会員だったとしても、補償の対象とはならないケースがあります。主な理由は以下のようなものです。

60日以内に申請しなかった場合
どのカード会社も補償期間は「60日以内」となっています。厳密には利用明細送付日(またはWeb明細の通知日)から60日以内です。明細を毎月チェックする習慣をつけていないと、2カ月以上経ってから発覚しても、もはや手遅れです。
暗証番号を使った不正利用の場合
通常、ネットショッピングで暗証番号を入力することはありませんが(セキュリティコードはありえます)、仮に暗証番号が漏れたことにより不正利用された場合は、管理が不十分であったとして補償されません。フィッシング詐欺により暗証番号が流出した場合などは議論が分かれるところですが、基本的に暗証番号の管理は会員に責任があります。
カード情報の扱いに過失があった場合
カードを誰かに預けたり、他人と共有したりするなど、十分な注意を持って管理されていなかった場合は補償の対象とはなりません。
不正利用したのが家族や同居人の場合
故意や過失にかかわらず、不正利用をしたのが会員の家族は同居人などの関係者である場合、保険は適用されません。

不正利用されないためのチェックリスト

オンライン不正利用保険を適用するカード会社が増えていると分かってホッとしました。しかし、やっぱりこんな保険にはお世話にならないのが一番です。大切なクレジットカードが不正利用されないためにも、普段からできることをまとめてみました。

  • カードを第三者に預けない
  • 暗証番号は推測されにくいものにする
  • 暗証番号は第三者に教えない、カード裏面やメモに書かない
  • 電子メールにむやみに返信やリンクにアクセスしない
  • フィッシング詐欺や情報漏えいの注意喚起には目を通す
  • 基本的に電話やメールで個人情報を聞き出そうとするものはNG
  • スポーツ施設や温泉施設などでのロッカー荒らしに注意する
  • 明細は少なくとも月に1回は目を通す

最近ではクレジットカード会社が24時間365日監視する不正使用検知システムを導入するなど、対策が進んでいます。

しかし、不正利用の原因の多くは、カード利用者の過失によるものです。普段からしっかりと意識し、保険のお世話にならないように気をつけたいものです。