保険金が支払われるケース・支払われないケース

クレジットカードの付帯保険としては海外旅行保険が有名ですが、国内旅行保険はどうでしょうか。海外旅行保険に比べて補償範囲がわかりにくく、どことなく地味な国内旅行保険。いったいどこまでをカバーしてくれるのでしょうか?また、どんな人に必要なのでしょうか?

クレジットカードの国内旅行保険とは?

国内旅行保険とは、日本国内を旅行・出張中にケガまたは死亡した場合に保険金がもらえる制度です。海外旅行前に保険に入る人は多くても、国内旅行でいちいち保険に入る人は少ないでしょうから、カードに付いていると安心して出かけられます。

国内旅行保険が付帯しているクレジットカードは、海外旅行保険付きのものに比べてあまり数がありません。基本的にはゴールド以上の高ランクのカード、または年会費が有料のカードです。アメックスには付いているものが多いですね。

単純に海外旅行保険の国内版かといえば、そうではありません。海外旅行保険は死亡・後遺障害、治療費、携帯品損害、救援者費用、賠償責任などトラブル別にこまかく項目が分かれていますが、国内旅行保険は基本的に「死亡・後遺障害」のみ、ときどき入院・通院・手術が含まれるくらいで、非常にシンプルになっています。

一般の国内旅行保険にはさまざまなタイプがありますが、クレジットカードに付帯している国内旅行保険の内容はほぼ同じです。

保険金支払いの対象となるためのキーワードは…

  • 乗り物に搭乗中
  • 宿泊先の火災・爆発
  • 1泊以上のパッケージツアー

以上の3つです!

保険金が支払われる3つの条件

国内を旅行中のケガを補償といっても、すべてが対象になるわけではありません。条件は細かくきめられていて、一般的にクレジットカードに付帯している国内旅行保険がカバーしてくれるのは、以下の3つの状況下における「事故」です。

  1. 公共交通乗用具(航空機、船舶、バス、タクシー、電車など)搭乗中の事故
  2. 宿泊施設に宿泊中の火災・破裂・爆発
  3. 宿泊を伴う募集型企画旅行(パッケージツアー)に参加中の事故

「事故」とは、「急激」かつ「偶然」な「外来」のトラブルを指します。したがって、「病気」や「過失」は対象になりません。また、旅行・出張中であることが前提なので、すぐ近くの隣人宅を行く途中や、通勤中の事故は旅行とはみなされません。

また、「公共交通用具」とは、いわゆる公共交通機関のことなので、自家用車やレンタカーは含みません。宿泊施設でのケガは、火災や爆発によるものに限られます。観光中にトラブルにあうことは旅行中にはよくあることですが、それは1泊以上のパッケージツアーに参加中であることが条件です。つまり、個人旅行中や日帰りバスツアーなどは対象外となるのです。


以上のことをふまえ、保険金が支払われるケースと支払われないケースの事例をあつめてみました。

補償の対象となるもの

  • 旅行中に電車が緊急停止して負傷した
  • 空港の搭乗者ゲートで待っている間に事故にあった
  • 宿泊しているホテルで火災が起こって負傷した
  • 宿泊先でプロパンガスの爆発事故が起こって負傷した
  • 1泊2日の国内パッケージツアーで移動中に事故にあった
  • ツアープラン中の観光地の落石で負傷した
補償の対象とならないもの

  • 通勤中に電車が事故を起こした
  • 日帰りバスツアー参加中に事故にあって負傷した
  • レンタカーで国内旅行中に事故をおこした
  • 宿泊先の階段で転倒して骨折した
  • 宿泊中に虫垂炎にかかって入院・手術した
  • ツアープランの集合場所に向かう途中に負傷した
  • 個人旅行で観光地を散策中に負傷した

自動付帯と利用付帯

海外旅行保険同様、クレジットカードに付帯している国内旅行保険には自動付帯と利用付帯があります。自動付帯の場合、カードに入会した時点で保険は有効です。旅行中に携帯していなくても対象になります。一方利用付帯の場合、旅行代金をカードで支払うことが条件です。事前にクレジットカードで切符を購入している場合は保険の対象になりますが、タクシーで事故にあっても精算前なら適用外になります。

基本的には自動付帯の方が安心です。利用付帯の場合、どういった時点で保険が有効になるのか、あらかじめ確認が必要です。

国内旅行保険は、どんな人に必要なのか?

補償を受けるためには条件がたくさんあるクレジットカードの国内旅行保険ですが、それでも持っていれば安心感があります。では、国内旅行保険付きのクレジットカードを選ぶべきなのはどんな人でしょうか?

国内をひんぱんに移動される方なら、使えるシーンがたくさんありそうです。旅行好きや出張の多いビジネスマンでしょうか。ただし自家用車や社用車での移動が多い方は保険の対象にならないので注意が必要です。公共交通機関をよく使う人が良いでしょう。旅行も、個人旅行ではなくパッケージツアー派の方に向いています。

国内旅行保険のメインは「死亡・後遺障害」ですが、通常の生命保険に加入している人は内容が重複しているのであまり考えなくて良いでしょう。もし旅行中のケガが心配だという場合は、入院や通院、手術費を補償してくれるタイプの保険が付帯したカードを選びます。

筆者の意見

最後に、著者個人としては、国内旅行保険はあるに越したことはないが、そのために年会費を払うのは行きすぎかなとは思っています。

それなら一般的な旅行保険の方が多彩なものから選べます。カード選びの際にコストもスペックも同レベルで判断に困ったとき、「国内旅行保険が付いているかどうかで決める」というくらいの位置づけがちょうどよいかと思います。