保険金の種類・付帯しているカード・向いている人
旅先で心配なのは病気やケガですが、飛行機の遅延や欠航、手荷物の遅延や紛失もダメージの大きいトラブルです。最近増えてきたLCC(格安航空会社)は遅延や欠航が多く、異常気象のために飛行機が飛ばないといったニュースもよく耳にします。航空機遅延保険があれば安心ですが、実際にはどこまでをカバーしているのでしょうか?
航空便遅延保険とは?
航空便遅延保険とは、航空機の遅延や欠航のために余儀なくされた宿泊代や食事代を補償する付帯保険です。また、手荷物の遅延や紛失によって衣類や生活必需品を購入した場合も対象となります。
航空便遅延保険の保険金の種類は以下の4つです。
保険金の種類 | 保険金を支払う対象 | 適用条件 |
乗継遅延費用 | 到着便の遅延によって乗り継ぎ便に搭乗することができなかった場合の宿泊費と食事代 | 4時間以上の遅れ※ |
出航遅延・欠航・搭乗不能費用 | 搭乗予定機の出発予定時刻から4時間以上の遅延または欠航・搭乗不能になった場合の宿泊費と食事代 | 4時間以上の遅れ※ または欠航 |
受託手荷物遅延 | 手荷物が目的地に時間通りに運搬されなかったために発生した生活必需品等の購入費 | 目的到着後6時間 |
受託手荷物紛失 | 手荷物が目的地に運搬されず紛失とみなされたために発生した生活必需品等の購入費 | 目的地到着後48時間 |
※予定時間の4時間以内に出発する代替航空機が見つかった場合は無効 |
補償金額は保険金の種類別にカードごとに設定されています。支払い条件には各社間で大きな違いはありません。4時間以上の遅れまたは欠航による宿泊費と食事代、手荷物の6時間以上の遅延か紛失による衣類や生活必需品の購入費です。
飛行機が遅れたり荷物が届かなかったりするとそれだけでかなりストレスですので、余計な出費をカバーしてもらえるのは経済的にも精神的にも助かります。
補償金額は保険金の種類別にカードごとに設定されています。支払い条件には各社間で大きな違いはありません。4時間以上の遅れまたは欠航による宿泊費と食事代、手荷物の6時間以上の遅延か紛失による衣類や生活必需品の購入費です。
飛行機が遅れたり荷物が届かなかったりするとそれだけでかなりストレスですので、余計な出費をカバーしてもらえるのは経済的にも精神的にも助かります。
どういうクレジットカードに付帯している?
航空便遅延保険は、年会費無料のクレジットカードには付いていません。年会費2,000円以上のカードや、ゴールドカード以上のステータスカードに付帯いています。航空便遅延保険付きのカードの数はそれほど豊富ではなく、著者が調べた限りでは20~30枚といったところでしょうか。
主だったものを抜粋してみました。*スマホの方は横画面モードでご覧下さい。
カード名 | 年会費 (税別) | 乗継 遅延 | 欠航 搭乗不能 | 手荷物 遅延 | 手荷物 紛失 | 国内 | 海外 |
セゾンプラチナ・ビジネス・アメリカン・エキスプレス・カード | 2万円 | 3万円 | 3万円 | 10万円 | 10万円 | – | 自動付帯 |
セゾンゴールド・アメリカン・エキスプレスカード | 1万円 | 3万円 | 3万円 | 10万円 | 10万円 | – | 自動付帯 |
オリコカード ザ ワールド | 9,800円 | 3万円 | 3万円 | 3万円 | 10万円 | 利用付帯 | 自動付帯 |
MUFGカード ゴールド | 1,905円 | 2万円 | 1万円 | 1万円 | 2万円 | 利用付帯 | 自動付帯 |
MUFGカード・プラチナ・アメリカン・エキスプレス・カード | 1,905円 | 2万円 | 1万円 | 1万円 | 2万円 | 利用付帯 | 自動付帯 |
旅行サービスに強いアメックス系のカードに多いのはさすがですね。
セゾンとアメックスの提携カードは最高補償額も高く充実していますが、海外ブランドだけあって日本国内では使えません。
一方、年会費が低めなゴールドカードとして有名なMUFGゴールドは、航空便遅延保険が付いているカードの中では年会費が最安です。多くのカードは海外では自動付帯、国内では利用付帯になっています。したがって、国内で被害にあった場合は、旅行代金をそのカードで支払っていないと対象にはなりません。
補償される対象は限定されている
よく誤解されるので強調しておきたいのが、航空便遅延保険は提示してある保険金額ではなく、「実費」が補償されるという点です。「保険金額が3万円=飛行機が遅れただけで3万円」ということではありません。
実費とは、飛行機の遅延や欠航、手荷物が届かないことに対応するために発生した費用です。具体的には、下記のようなものです。
- ホテル代などの宿泊費
- 食事代
- ホテルに移動するための移動費(タクシー・電車代など)
- 航空機のかわりの交通費
- 国際電話などの通信費
- 衣類(下着・Tシャツ・短パン・スリッパ・防寒着など)
- 身の回り品(歯ブラシ・髭剃り・洗面用具など)
航空機のチケット代などは補償されません。航空会社が返金か代替機への振替をしてくれるはずです。衣類は下着などの必要最低限のものしか認められていないのはキツイですね。とはいえ、48時間ずっと同じ服を着るわけにはいかないので、限度額内であれば多少融通は効くと思います。
手荷物に関しては、携帯品損害保険に加入してれば航空便遅延保険でカバーできない範囲も補償の対象になります。また、紛失(ロストバゲージ)の場合は航空会社が補償しなければいけないことになっています(ただし上限あり)。
航空便遅延保険のココに注意
保険が適用されるには、いくつかクリアしなければならない条件があります。特に以下の2点は頭に入れておきたいポイントです。
飛行機が遅れることはよくあることですが、4時間以上の遅延というのはなかなかありません。欠航になった場合も、4時間以内に出発する代替便が見つかった場合は無効です。3時間半も待ち時間ができたから食事でも、と言った場合の食事代は補償の対象になりません。遅延・欠航に遭遇する確率は低くありませんが、どのくらい保険の出番があるかは未知数です。
保険金を申請する場合、購入したものの領収書(レシート)、航空会社が発行する遅延/欠航証明書、宿泊証明書のコピーの提出を求められます。これらの書類が用意できないと補償の対象にならない恐れがあるので、必ずもらっておきましょう。
航空便遅延保険はどういう人に必要な保険なのか
航空便遅延保険はけっきょくどんな人に必要な保険なのでしょうか?まず、国内外に飛行機での移動が多い方には必須です。旅行好きの方や出張が多い方に向いています。
また、最近人気のLCC(格安航空会社)ユーザーの方には必須といえます。というのは、LCCは少ない器材で運行しているため、1便の遅れがそれ以降のスケジュール全体に影響し、遅延や欠航が起こりやすいからです。他の大手航空会社であればすぐに代替便を用意してくれるのですが、LCCは原則他社便への振替はおこなってくれません。そのため、宿泊費や交通費をカバーしてくれる保険があれば重宝します。
渡航先によっても必要性がアップします。台風や雪、ハリケーンが多い地域に行く場合は、遅延や欠航が相次ぎます。夏から秋にかけての沖縄方面、台湾、東南アジア方面は台風の季節です。北海道や東北、カナダやロシアでは豪雪による欠航がよくありますね。北米にもハリケーンのシーズンがあります。
したがって、以下のような条件に当てはまる人は、航空便遅延保険付きのクレジットカードを選ぶのが良いでしょう。航空便遅延保険が付帯しているカードは海外旅行保険も充実しています。
- 飛行機での移動が多い人
- LCCをよく利用する人
- 自然災害が多い地域に行く人
航空便遅延保険は遅延や欠航、手荷物の損害のすべてをカバーしてくれるわけではありませんが…
数万円でも負担が減って宿や食事が確保できるのであれば、精神的な補償の面も無視できません。