白金ちな



白金ちなです!こんにちは!

最近、私のまわりでは個人事業を営む人が増えてきました。いろんな働き方が当たり前になるのって、素敵ですよね!友人もネットショップを営んでいる個人事業主のひとりなのですが、ある日こんな相談をされました。

「クレジットカードで経費を払うと利用停止になるってホント?」

なぜ友人がこのようなことを言いだしたかと言うと、「個人用のクレジットカードで事業の経費を落とすのは規約違反になると聞いた」からなのだそうです。

しかし、個人用のカードで経費の支払いをしている個人事業主の方は少なくないのではないでしょうか?経費全般にカードが使えないということになると、影響は大きそうです。どういうことなのか、調べてみました。

各カード会社の利用規約をチェックしてみた

クレジットカードの使い道のルールは、会員規約に記載されています。公式ホームページでも公開されているので誰でも見ることができます。代表的な三井住友VISA、JCB、セゾンカードの規約をチェックしてみました。該当部分を抜粋しています(※太字化は筆者)。

三井住友VISAカード&三井住友マスターカード会員規約(個人会員用)

第6条(カードの貸与と取扱い)

現行紙幣・貨幣の購入、または、現金化を目的として商品・サービスの購入などにカードのショッピング枠を使用してはならず、また違法な取引に使用してはなりません。

第15条(カード利用の一時停止等)

当社は、会員が本規約に違反し若しくは違反するおそれがある場合、カードの利用状況に不審がある場合に は、カードショッピング、キャッシングリボ及び海外キャッシュサービスの全部またはいずれかを一時的に停止し、 若しくは、加盟店や現金自動預払機等を通じてカードの回収を行うことができます。

JCB会員規約(個人用)

第22条 (ショッピングの利用) 

会員は、現金を取得することを目的として商品・権利の購入または役務の提供などにカードのショッピング枠、ショッピング残高枠(第19条第2項に定めるものをいう。)を利用すること(以下「ショッピング枠現金化」という。)はできません。

第39条 (退会および会員資格の喪失等) 

会員の信用状態に重大な変化が生じたとき、または換金目的によるショッピング利用等会員によるカードの利用状況が適当でないと当社が判断したとき。

引用元・JCBカード

セゾンカード規約

第5条(カードのご利用)
会員は、換金又は違法な取引を目的とするカードのご利用はできません。

第23条(会員資格の喪失等

換金目的の商品購入等不適切なカードの利用があったとき、又はキャッシングサービス、暗証番号を利用するサービス、その他のカードに関するサービスのご利用状況が社会通念に照らし容認できない等、カード利用について当社との信頼関係が維持できなくなったとき。

引用元・セゾンカード

白金ちな



規約には、「現金化を目的とした商品の購入」や「換金目的のショッピング利用」が違反だとあります。つまりカード会社は「クレジットカードの現金化」がダメだと言っているんですね。

では、事業の仕入れや経費の支払いはクレジットカードの現金化に該当するのでしょうか。まずはクレジットカードの現金化とは何かについてみていきましょう。


クレジットカード現金化とは?

クレジットカード現金化とは、カードで高額な商品を購入し、業者に買い取ってもらう行為です。キャッシングもローンも使えないほどお金に困っている人が現金を手にする裏ワザとして知られています。

クレジットカード現金化は法的にはグレーですが、少なくともカード会社は認めていません。日本クレジット協会も違反であることを明言しています。違反行為とみなされた場合、カードの利用停止や強制退会になることもあります。(参考・クレジットカードのショッピング枠の「現金化」の誘いに注意|日本クレジット協会

ここで「仕入れ」と「経費」の違いについて整理しておきましょう。実は仕入れは経費に含まれると考える人や、違いがイマイチあいまいな人が多いのですが、経費と仕入れは別物です。

経費とは、事業に必要な費用のことです。
<例>事務用品等消耗品の購入、水道代、電気代、家賃、交通費など…

仕入とは、売上に直接関係する費用のことです。
<例>販売目的に購入した商品や原材料、購入した商品や原材料を運ぶための送料など…

通常、経費がクレジットカードの現金化と間違われることはありません。水道料金や家賃などは換金のしようがなく、交通費は領収書が必要だからです。

一方、仕入れはどうでしょうか。事業において商品を仕入れて第三者に売るのも、お金に困ってカードで購入した商品を業者に売るのも、カード会社からするとカードで買ったものをお金に変える同じ行為に見えるはずです。

仕入れも現金化とみなされて規約違反になる?

しかし、個人のカードによる仕入れが規約違反となれば、自分のカードでバンバン仕入れをしている個人事業主などは明日から事業が立ちゆかなくなってしまいます。よく分からなくなってきたので、真意を確かめるべく、コールセンターに問い合わせてみました。


カード会社A「はい、どうなさいました?」

白金「個人事業をやっているのですが、仕入れの支払いをカードでしても大丈夫でしょうか?」

カード会社A「はい、まったく問題ございません」

白金「え、そうなんですか!?」

カード会社A「当社では事業者様の事業にかかる経費にもカードをご利用いただけます」

白金「事務用品とかならともかく、仕入れでもいいんですか?」
カード会社「はい」

白金「規約に“転売・換金は禁止”とあるのですが、仕入れはそれに該当しませんか?」

カード会社A「特に経費の中でもこれは不可といった区分けはございません」

白金「ほー・・・」


退会も辞さないというトーンの会員規約とは、ずいぶん雰囲気が違いますね。。
他のカード会社にも問い合わせてみました。


カード会社B「商品の仕入れを含め経費の支払いにご利用いただけます」

>白金「(あれ?)」
カード会社C「ご利用限度額の範囲内であれば内容は問いません」
白金「(あれれ?)」

白金ちな


問い合わせの結果、「個人事業主が仕入れにカードを使ってもOK」とのお墨付きをいただきました。みなさん、安心して続けて下さい。

よくよく調べてみると、基本的にカードで仕入れを行うことは問題ないが、クレジットカード現金化が疑われるようなケースの場合、カード会社の判断で調査や利用停止などの対応を取ることがあるようです。


仕入れはOK、現金化はNG、その境界線は?

クレジットカード現金化はダメ、でも商品の仕入れに使うことはOK。しかしどちらも商品をカードで購入して第三者に売る行為です。カード会社はどうやって仕入れと現金化を見分けているのでしょうか?疑われやすい要因と考えられるものは2つあります。

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毎月限度額いっぱいの利用がある

クレジットカードの現金化をするような人はお金に困っている人です。毎月限度額ギリギリまでカードを使っている場合は、資金繰りが苦しいのかも知れないということで、カード会社に警戒されます。特に現金を引き出せるキャッシング枠を使い切っており、それに合わせて急にショッピング利用が高額になった場合は、現金化ではないかと疑われてしまいます。キャッシング枠・ショッピング枠のどちらもいっぱいまで毎月使っているようなら気をつけた方が良いでしょう。

換金率の高い商品の大量購入

現金と交換しやすい商品、つまり換金性の高い商品を大量に購入すると、現金化が目的ではないかと疑われてしまいます。換金性の高い商品とは、たとえばブランド品(時計・バッグ・アクセサリー)、パソコン・ゲーム機、商品券・ギフト券、新幹線の回数券などです。

交際費などで商品券を購入する事業者はめずらしくありませんが、個人事業であまりにも金額が大きい場合は不自然です。換金性の高い商品を事業で扱う場合は、繰り返し大量購入をしているとクレジットカード会社に怪しまれる可能性があるので注意してください。

調査が入ればきちんと説明、不安なら法人カードも

もし、まっとうな事業をしているにもかかわらず現金化を疑われてしまった場合はどうしたら良いのでしょうか?

一発で利用停止になることは考えにくい

カード利用者としてはいきなりの利用停止や強制退会が心配ですが、基本的に何の通知もなくいきなりレッドカードとなることはありません。まず、カード会社が怪しげな利用履歴を見つけた場合、利用者に利用実績や目的などの電話確認が入るはずです。この際、現金化のためではなく事業のためである旨をきちんと説明できれば問題ありません。仮にいったん使えない状態になったとしてもすぐに解除されるでしょう。

仕入れ金額が大きくなると増額がむずしくなることも

仕入れをカードでおこなっていて、事業が軌道に乗ったことで金額が大きくなると、それまでの限度額ではまかない切れなくなってきます。しかし、事業経費目的が主な場合、枠の増額はむずかしいかも知れません。中小の事業者は安定性がないため、リスクを避けるためだと考えられます。これはJCBの方に聞いたお話です。ある程度規模が大きくなってきたら、個人カードから法人カードに切り替えることも検討してもいいでしょう。

白金ちな



このように、ルールや違反時の対応はカード会社によってまちまちです。すでにカードで仕入れを続けてこられている個人事業者の方は、今まで特に利用停止や注意がなかったのであれば気にする必要はありません。

もし事業の経費にカードを利用していて、心当たりがないのに急に使えなくなった場合は、すぐにカード会社に問い合わせてみましょう。これから事業を始める、またはカードを作る場合は、事前に利用目的を説明して個人カードで対応可能かどうか確認しておくと安心です。

関連記事・個人事業主も使える「法人カード」とは?

結論:仕入れに使っても大丈夫

ややこしい話になってしまいましたが、今回の話をまとめます。

  • 個人事業主が個人向けクレジットカードで経費の支払いをすること → OK!
  • 事業目的の商品の仕入れで個人向けクレジットカードを使用すること → OK!
  • 換金目的で商品をクレジットカードで購入すること → NG!

気をつけたいのが、事業目的の仕入れを現金化と誤解されないようにすることです。扱う商品の種類が換金性の高いものである場合や、金額大きくていつも限度額いっぱいの場合はあらかじめカード会社に確認をしておきましょう。

今回調査した大手3社についてはこのような結論となりましたが、他のカード会社も同じかどうかは保証できません。途中で規約が変わることもあります。

個人事業主は新しい働き方なので、不明確なルールに悩まされることもしばしば。事務的なことでトラブルに見舞われることなく、本業がうまくいくといいですね!