白金ちな


こんにちは!白金ちなです。

先日、火災保険の更新のお知らせが自宅に届きました。賃貸している家の火災保険を継続するかどうかの確認のためです。そういえばこの保険、家を借りる時に不動産会社にすすめられて加入したもので、補償内容や保険料についてぜんぜん把握していませんでした。

調べてみたら、保険料がなんと年間4万6,000円!

相場を知らなかったとはいえ、1年掛け捨てでそれは高すぎる!そのころは賃貸契約や引っ越し準備に忙しくて、火災保険の契約内容まできちんと見てなかったのですね。大急ぎで見直すと、保険料をかなり節約できました。

どうでしょう、みなさんは今入っている火災保険の契約内容、ちゃんと把握していますか?

部屋を借りる時の火災保険は何のため?

賃貸物件を借りる時には、火災保険の加入が義務付けまたは強く推奨されるのが一般的です。そもそも、どうして部屋を借りるのに火災保険に入らなくてはならないのでしょうか?

火事の責任を取るためではない

火災の保険なのだから、万が一火事を起こした時の被害を賠償するためと考えるのが自然です。賃貸で借りている自宅から火が出て建物や隣近所に延焼した場合、被害を弁償するための費用を保険会社が出してくれるのでしょうか。実は違うんですね。

火災に伴う責任について、こんな法律があります。


『過失によって火災を発生させた場合は、原則として民法上の損害賠償責任を負わない』



つまり、重大な過失がない限り、火事を起こした人は被害を受けた人に損害賠償をする必要はないことになっています。


重大な過失とは、例えばこのようなものです。

  • 寝たばこが危険と知りながら何の対策を講じないまま続けていた
  • 天ぷら油を加熱したままその場を長く離れた
  • 石油ストーブに給油する際、石油ストーブの火を消さずに給油した

上記のようなひどい過失がなければ、火災を起こして周辺住民に迷惑をかけても損害賠償を請求されることはありません。加害側からするとホッとしますが、被害を受けることを考えるとゾッとしますね。家を焼かれても弁償してもらえないということでしょうか。

話を保険に戻すと、失火責任法があるため、賃貸の時に加入する火災保険は火事を引き起こした際の損害賠償のためではないことが分かります。では、入居者な何のために火災保険に入るのでしょうか?

賃借人が火災保険に入る理由

賃貸物件を借りる人が火災保険に入るのは、「原状回復の費用」と「自分の家財の補償」のためです。原状回復とは、借りている人が部屋を明け渡す時に借りた時の状態に戻す義務のことです。部屋を借りたことがある人ならいちどは聞いたことがあるでしょう。火事を起こしても建物や周辺の住宅の賠償をする必要はありませんが、自分の部屋を黒コゲのまま大家さんに返すわけにはいきません。そこで、保険金で部屋を修理した状態で明け渡すのです。

また、自分のせいとはいえ自宅の家財道具が焼けてしまうのはつらいですよね。それも火災保険に入っていれば保険金でまかなうことができます。賃貸契約の時に火災保険に入るようにいわれるのは、主にこの2点のためです。

火事を起こしても起こされても使える

火災保険は自分が加害者になった時だけでなく被害者になった時にも使えます。他人が引き起こした火事のもらい火によって住宅や家財道具が消失しても、先ほどお話ししたとおり火元に重過失がなければ損害賠償は請求できません。場合によっては泣き寝入りです。しかし火災保険に入っていれば、原状回復と家財道具の買い替えに必要な費用は保険契約に基づいて補償を受けることができます。

白金ちな



こう考えると、賃貸でも火災保険ってけっこう重要であることが分かりますね。火災は注意することはできても誰にでも起こりえることです。

借りているとはいえ部屋の中には自分の財産がたくさんあり、元通りにして返すことが義務付けられているので、いざという時の保険は必要です。

賃貸の火災保険の中身とは

保険にはさまざまな機能が付いています。主なものは以下の補償です。

自分の家財がダメになった! → 「家財保険」

冷蔵庫、洗濯機やテレビなどの電化製品、ベッドやクローゼットなどの家具、洋服やアクセサリーなど、生活に必要な家財道具が焼失したり壊れたりした時、家財保険に入っていると保険金を受け取ることができます。なお、現金やクレジットカード、自動車や携帯電話は対象外です。加害者の場合も被害者の場合も補償されます。

借りている部屋の原状回復が必要! → 「借家人賠償責任特約」

賃貸で借りている部屋は、元の状態にして大家さんに明け渡す必要があります。燃えてしまった状態では返せませんから、リフォームしてきれいにしなければなりません。そのための費用は借家人賠償責任保険」に入っていれば保険金でまかなえます。

火災の加害者で重大な過失があった! → 「個人賠償責任特約」

火災を起こして建物や隣人に損害を与えても、失火責任法によって損害賠償はしなくてもいいことになっていますが、重過失がある場合は被害を弁償しなくてはなりません。火災保険には「個人賠償責任特約」が付いていることが多く、これがあれば過失があっても損害賠償金を補てんしてもらえます。火災以外にも、自転車事故など普段の生活でも使えます。

延焼した隣家が火災保険に入っていない! → 「類焼損害特約」

他人が起こした火災のために自宅が燃えてしまっても、重大な過失がなければ損害賠償を請求することはできません。その場合は自身が入っていた火災保険で補償してもらいます。しかし火災保険は任意なので、被害を受けた家が入っていない場合や、金額が不足している可能性もあります。法的な責任がないからといって知らん顔では、今後の近所づきあいが難しくなります。そんな時、類焼損害特約を付けていれば、不足した金額分を補償してもらえます。

地震による被害も補償してほしい! → 「地震保険」

火災保険では、地震および地震による津波、もしくは噴火による被害は補償してくれません。しかし近年地震による被害が増加していることから、特約として地震保険をつけることができます。ただし建物・家財に設定した保険金額の30~50%の範囲にとどまります。地域によっては保険料がはね上がるため、必要性についてはよく検討したいところ。

賃貸を借りる時にすすめられる火災保険には、家財保険と借家人賠償責任特約のセットが基本です。あとは任意のオプションですが、不動産会社がすすめてくるものには多くの機能が盛り込まれたフルセットのものが少なくありません。必要がないものに加入していると割高な保険料を知らない間に支払っていることになります。

大家さんや不動産会社がすすめる保険は割高?

不動産会社は火災保険の販売代理店を兼ねていることが多く、賃貸契約に来た入居者に過度にスペックの高い保険をすすめる傾向があるという指摘があります。

我が家の火災保険の場合

私は引っ越しの際に不動産会社がすすめてきた(というか賃貸契約と一緒にサインを求められた)火災保険に入っていました。保険会社の名前は伏せますが、調べてみたところ用意されたプランの中でも最高額なものが設定されていました。

家財保険金額地震保険あり地震保険なし
200万円15,450円11,380円
うちに必要だったプランの保険料
310万円21,680円15,370円
400万円26,620円18,480円
600万円36,790円24,580円
800万円46,200円
加入させられていたプランの保険料
29,920円
※借家人賠償(保険金額2,000万円)、個人賠償(保険金額1億円)を含む保険料
白金ちな


我が家は家族数こそ多めですが、家具や服飾品はリサイクルショップで買ったものがメインで、それほど高価なものはありません。

家電製品は必要があれば別途保険に入っているので、火災保険でカバーする必要はありません。したがって家財保険は200万円もあれば十分です。また、地震保険の必要性にも懐疑的なのでいりません。個人賠償責任も自動車保険で入っています。

しかし加入していた火災保険はそのどれも特約で付いていて、家財保険金額も最高に設定されていました。その分保険料も高くなり、おそろしくムダな保険料を払い続けていたことになります。

確認しなかった私が悪いのですが、あの時は引っ越しのバタバタで家の契約書を確認するのがやっとで、保険については「そういうものか」とあまり気にする余裕がありませんでした。しかし、同様の状態だった人も多いのではないでしょうか。

他社の見積もりと比較してみる

今加入している火災保険のプランを見直すだけでも保険料は4分の1になるのですが、他社の見積もりではどうなるのか比較してみました。

保険料家財保険金額借家人賠償責任個人賠償責任
ジェイアイ傷害火災6,000円/年185.9万円2,000万円2,000万円
日新火災4,000円/年100万円2,000万円1億円
全労災2,400円/年300万円1,000万円
※各社公式ホームページより

そこからさらに半分以下に安くできます。個人賠償責任保険が不要で家財保険が300万円、原状回復のための費用が1,000万円で良いと仮定するなら、保険料は今払っている金額の20分の1で済みます。

自分で保険を探して加入するのはアリ?

さすがにこれはひどいということで、不動産会社に相談してみました。

火災保険を自分で手配するのは原則OK

「自分で他の保険を探してみてもいいですか?」と聞いてみたら、「全然OKですよー。お決まりの際はご一報だけお願いします」とあっさり許可が出ました。

火災保険は賃貸契約の際に不動産屋や大家さんが指定するものに入らなければならないと考えている人が多いのですが、ほとんどの場合保険加入は任意で強制ではありません。自らインターネットなどで情報収集して個人で手配することはまったく問題ありません。賃貸契約書には火災保険に入ることが明記されていることがほとんどですが、「どこどこの」といった指定をしていることは非常にまれです。

大家さんにとって本来必要なのは、「借家人賠償責任保険」だけ!

そもそもなぜ大家さんが賃借人に火災保険に入っておいてほしいかというと、「借家人賠償責任保険」が目的なのですね。入居者が火災を起こしても原状回復するお金がないとなると、家主としては大打撃を負ってしまうからです。ところが不動産会社は保険会社の代理店を兼ねている場合が多いので、家財保険や個人賠償保険とセットにして保険料をかさ上げして販売手数料を多く得ようという側面があります。不動産会社にいわれるままに賃貸の火災保険に入ると保険料が割高になりやすいのはこのためです。

必要な補償はどうやって見積もる?

保険は必要な分だけ入るのが基本ですが、火災保険の必要額ってどのようにしてみ積もればよいのでしょうか?目安を考えてみました。

  • 借家人賠償責任 → 加入義務あり。2,000万円もあれば十分!
  • 家財保険金額 → 高いほど保険料が高額に。保険会社の目安は高すぎ?
  • 個人賠償責任保険 → 1億円あれば安心だが、他と重複していないかチェック!

保険料は家財保険の保険金額が大きいほど高くなります。確実なのは家にある家財の金額を積算することです。全部は難しい場合は保険会社が提示する概算がありますが、これがどこも高すぎるように思うので、そのまま信じてしまうのは危険かも知れません。


<保険会社による家財評価の目安>
※世帯主40歳、夫婦と子供2人、専有面積80㎡の場合

あいおいニッセイ同和損保1,450万円
富士火災1,430万円
損保ジャパン日本興亜1,310万円
三井住友海上1,250万円
東京海上日動880万円

1,000万円もありますか?家財道具!私が持っていないだけで、みんなそれくらいは持っているのかな・・・。内装や持ち物に凝っているご家庭ならあり得るでしょうが、シンプルに暮らしているご家庭ではここまでの補償額は必要ないのではないかと思います。

ちょっと面倒でも家の中を見渡してみて、家財道具がどのくらいの金額になるのか見積もってみるのが良いのではないでしょうか。

結論:いますぐ保険の契約書を探して!

白金ちな

保険料が高いから火災保険はいらないってことじゃないですよ。個人的にはとても重要なので絶対に入っておいた方が良いと思います。ただ、内容も確認せずに加入すると割高になっているケースがありますよという話で。

特に以下の要素がある場合は要注意ですよ!

  • 火災保険って何のために入るの?
  • 今どんなものに入っているか知らない
  • そもそも契約書はどこ?

もちろん良心的な不動産屋さんも多いのですべて見直しが必要なわけではありませんが、保険はとにかく「必要な分だけ入る」が鉄則!いますぐ契約書の捜索を開始してください!