白金ちな


みなさん、こんにちは!!

白金ちなです。この度ブログを始めさせていただきました。このブログを通じて、私が日々学んでいる生活・ビジネスに役立つ雑学や節約術をご紹介していきたいと思います。

さて、第一回は今年2016年4月からスタートした「電力自由化」のお話です。家庭向けの「電力小売りの自由化」とのことで、大手電力会社の独占を崩し、電気料金の値下げやサービス向上が期待されるということで、大変話題になりました。

開始から4か月たった今、さぞ多くの家庭が契約の変更をして電気代の節約に成功している・・・かと思いきや、実はあまり盛り上がっていません。業者を切り替えた家庭は、2016年7月末時点で2%程度にすぎません。家計節約のチャンスだというのに、一体何が起こっているのでしょうか。

我が家は5月に切り替えをおこない、電気代は約1割安くなりました。しかし、電気の使い方や住んでいる地域によって「得する家庭」と「損する家庭」があるようなのです。どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

電気代が安くなるのに電力自由化が盛り上がらない理由は?

「電力小売りの自由化」により、各家庭は好きな業者から電気を買えるようになります。東京に住んでいるからと言って必ずしも東京電力と契約する必要はありません。独占状態から解放されれば、もっと料金の安いところやサービスが手厚いところも出てくるでしょう。

消費者にメリットの大きい改革だと思うのですが、98%もの家庭が切り替えていない理由は何でしょうか?

認知度が低いわけではない

まだあまり知られていないせいかと思いましたが、博報堂のエネルギーマーケティング推進室の調査によると、けっこう認知度は高いことが分かっています。

 

電力自由化のことを知っている人は81%、電力会社を変えてみたいと考えている人は64%に上ります。切り替えが進まないわけは、知られていないせいでも関心がないせいでもないようです。

電気料金の比較は大変!

実際に検討してみて分かったのですが、電気料金の比較は思った以上に複雑で大変です。単純に年間1万円削減と言ってくれれば分かりやすいのですが、

(例)
20アンペア契約で、月々の使用量が120kWh以上なら基本料を除く電気代が1万円を超える分から2%削減可能!ただし当社のインターネット接続○○コースと同時契約時に限る ※契約内容は予告なく変更されることがあります…
白金ちな



こんな説明を延々読む羽目になれば、正直多少の節約なんてどうでもよくなりますよね…。

小売り電気事業者の数は、2016年7月14日時点で318社(既存の大手電力会社10社を含む)あります。

たとえば比較できる新電力が10社あるとして、各社3つずつプランを提供しているとすると、上記のような説明を3×10回解読しなければなりません。げっそりしますね。

このように、条件だらけの複雑なプランが乗りかえを遠ざけるひとつの要因と考えられます。

その割には絶対安くなるとは限らない

それでも、けっこうな節約になるのであればモチベーションも上がるのですが、頑張って比較しても大して変わらないという結果もありうることが切り替えが進まない原因でしょう。電力会社を変えることでどのくらい電気代が変わるのかは、

・住んでいる地域
・家族構成
・年間の電気使用量
・日中・夜間どの時間帯別使用状況
・現在の料金プラン
・選択可能な新電力の料金プラン

によって異なります。
切り替えれば必ず電気代が安くなるとは限りません。安くなったとしても労力に見合わないようであれば、変更を見送る人も多いでしょう。どのくらい安くなるなら頑張れるかは個人の判断になりますが、その目安となる面白いデータがあります。

いくら安くなるなら乗りかえる?

先ほどの博報堂のエネルギーマーケティング推進室の調査には、電気料金が何%下がるなら電力会社を乗り換えたいか消費者に聞いたアンケート結果があります。
電力会社を乗り換えたいと思う電気料金の引き下げ率

5%料金が下がるなら変えると答えた人が4割、10%下がるならと答えた人は3分の2を超えます。10%は金額にすると、電気代がひと月1万円の家庭なら年間1万2,000円ですね。試算してみて年間1万円以上安くなるなら業者を切り替えてもいいと考えている人が多いようです。

電気代節約効果は数百円から2万円まで!

では、実際にどのくらいの差があるものなのでしょうか?いくつか例を見ていきましょう。

たとえば東京電力管内に住むご家庭で、ファミリー世帯と単身世帯を比較してみることにします。東京電力から「ENEOSでんき」に乗りかえた場合のシミュレーションです。


3人以上世帯の場合(東京)

現在の使用状況乗りかえ後
契約内容春秋の月間電気代
(使用量)
夏冬の月間電気代
(使用量)
ENEOSでんき
Aプラン+にねん とくとく割(10A~60A)
従量電灯B
50A
平均11,000円
(352kWh ~ 470kWh)
平均13,000円
(362kWh ~ 592kWh)
14,904円節約

これまで年間142,108円かかっていた電気代が、127,204円にまで節約できました。10%を超える節約ですので、先ほどお話した「乗りかえてもいいと思えるライン」を超えていますね。


1人世帯の場合(東京)

現在の使用状況乗りかえ後
契約内容春秋の月間電気代
(使用量)
夏冬の月間電気代
(使用量)
ENEOSでんき
Aプラン+にねん とくとく割(10A~60A)
従量電灯B
30A
平均5,000円
(170kWh ~ 226kWh)
平均6,000円
(175kWh ~ 285kWh)
3,928円節約

一方、単身世帯の場合は年間3,928円と、月々300円程度の節約にしかなりません。これだとよっぽど東京電力がキライ、と言う理由がない限り、手間をかけて乗りかえたいとは思わないでしょうね。

先ほどは同じ東京電力管内でみてきましたが、たとえば関西電力管内ではこのような例もあります。


3人以上世帯の場合(大阪)

現在の使用状況乗りかえ後
契約内容春秋の月間電気代
(使用量)
夏冬の月間電気代
(使用量)
Looopでんき おうちプラン(関西エリア)
従量電灯A平均11,000円
(357kWh ~ 461kWh)
平均14,000円
(357kWh ~ 583kWh)
21,410円節約

年間2万円節約は魅力的ですね!同じ家族構成でも地域によって差があることが分かります。
しかし一方で、こんなケースもあります。


1人世帯の場合(大阪)

現在の使用状況乗りかえ後
契約内容春秋の月間電気代
(使用量)
夏冬の月間電気代
(使用量)
Looopでんき おうちプラン(関西エリア)
従量電灯A平均5,000円
(357kWh ~ 461kWh)
平均6,000円
(357kWh ~ 583kWh)
611円割高

乗りかえることでむしろ割高になるケースもあります。ガス会社は電力自由化で有力な参入企業なのですが、料金プランや使用内容によってはマイナスになることも。

白金ちな



どのような家庭が電力自由化のメリットを受けやすいか、もうお気づきでしょうか?

それは、「電気使用量の多い家庭」です。

電気をたくさん使ってくれる家庭は電力会社にとっても「お得意様」で、なんとか自社に引き留めたいということで、節約効果の高いプランを提供しているのです。
 

得する家庭のキーワードは「ファミリー世帯」「一戸建て」「都市部」

電力自由化で得する家庭は電気使用量の多い家庭であることが分かりました。ここで、電力自由化で得する家庭に当てはまると思われるキーワードを3つまとめてみました。以下のご家庭は乗りかえのメリットが大きい可能性が高いので、是非チェックしてみてください。

世帯人数の多いファミリー世帯

当然といえば当然ですが、生活している人数が多いほど電気代は高くなります。電気を多く使うこともありますが、同時に使う量が多いため契約アンペア(A)数が高くなり基礎料金がアップすることも原因です。総務省統計局の家計調査によると、世帯人数が2人の家庭の月額平均は9,763円、5人なら13,698円です。年間にすると5万円近く違います。

マンションではなく一戸建て

これも電気使用量を多くする要因なのですが、同じ家族構成・間取りでも、戸建ての方がマンションよりも電気代が高くなる傾向があります。その理由は、冷暖房効率にあります。マンションの場合上下左右のいずれかまたはすべてが他の家と隣接していますが、戸建ての場合四方と上部の5面が外壁で気温の影響が受けやすく、エアコンの効きが悪くなります。また、部屋数や家電製品の数が多くなりがちなのも一戸建ての特徴です。

東電・関電管内の都市部世帯

電力小売り自由化には多くの企業が参入していますが、圧倒的に多いのは東京電力管内と関西電力管内です。競争がはたらくほど価格が下がることが期待されます。しかし残念ながら地方への参入は今のところ活発ではありません。電力会社を乗りかえた人の94.2%は、東京・関西の2都市です。都市部の家庭ほど電力自由化の恩恵を受けるチャンスが多いといえます。

損する家庭は料金よりもサービスに注目して

では、先ほどの「得する家庭」に該当しなかった家庭は、電力自由化にはまったくメリットがないのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。確かに料金の面では大きな節約効果はありませんが、新規参入の企業には料金以外のメリットを提供しているところが多くあります。

セット割やポイント還元制度

新電力と呼ばれる企業の中には、自社のサービスと同時加入することで割引が受けられる「セット割」を提供しているところがあります。auやソフトバンクなどの携帯電話会社や、OCNやeo光などのプロバイダーのほか、都市ガス、ガソリンスタンド、スーパー・コンビニ、クレジットカードなどでも見られます。中でも3つのサービスを組み合わせた「トリプルセット割」は、割引率が高いことで注目されています。

支払った電気代の一部がポイントに還元されるサービスもあります。東京電力は月々の電気料金1000円ごとに5pのTポイントもしくはPontaポイントが付きます。ENEOSでんきはYahoo! JAPAN ID保有者に限り200円につきTポイント1p付きます。

電気代は毎月かかるものなので、一部でもポイントに還元されるとおトク感があります。

日常生活サポート

料金ではなく、生活におけるサポートを提供している電力会社もあります。たとえば九州電力がサービスを開始した「九電あんしんサポート」。離れて暮らす両親の見守りやかけつけ訪問をしてもらえる「親孝行サポート」、カギをなくした・トイレが詰まったなどの「生活トラブルサポート」、子供の一時保育・庭の木の剪定などの「くらしサポート」の3つを提供しています。

いずれも有料ですが、電力サービスに加入することで割引が受けられます。2016年9月をめどにスマートメーターを利用して電気使用量から1人住まいの方の異常を検知する「みまもりサポート」を導入するなど、生活サポートサービスは拡大していくことが予想されます。

再生可能エネルギー、地域貢献

「原子力や化石燃料ではなく、自然エネルギーで発電された電気を使いたい」と考える人も多いでしょう。電力自由化では、そういったニーズに選択肢を与えてくれます。電力各社が公開している「電源構成」を参考にすると、「何から電気を作っているか」が分かります。自分のポリシーに合った電力会社を選べるのも自由化のメリットです。

たとえば、東京電力は自然エネルギーで電気を作っている割合は2%に過ぎませんが、みんな電力株式会社なら、70%を太陽光発電が占めます。自然エネルギーを電源としているところはまだまだ少ないのですが、少なくとも昔のように「選べない」状態ではなくなりました。

住んでいる地域の自治体や事業者の電力を使うことで、地域貢献をすることもできます。大手とは異なり市内で発電して市内で売るといった地産地消なので、経費がかからず割安になることもあります。

セット割・ポイント還元生活サポート再生可能エネルギー
地域貢献
・携帯電話
・ネット回線(光/ADSL)
・都市ガス
・Tポイント、Pontaポイント
・定期訪問サービス
・緊急かけつけサービス
・生活トラブル
・その他支援サービス
・エコ、自然エネルギー
・地域自治体や事業者
・地産地消

電気料金のシミュレーションをしてみよう!

電力自由化のメリットは電気使用量の多い家庭にあるお話と、電気料金が下がる以外にもメリットがあるお話をしてきました。

では、じっさいあなたのご家庭がどの事業者ならどのくらい料金が違うものなのか、知りたくなりますよね?実は、電気料金の比較ができるサイトはいくつかすでに立ち上がっていて、郵便番号や世帯人数、月間使用量や主な利用時間などを入力するだけで、今からどのくらい料金が変わるのか調べることができます。


<主な電気料金比較サイト>

毎月配られる電力会社からの「電気ご使用量のお知らせ」があれば、どのサイトでも比較が可能です。ざっくりな見積もりでよければ、契約アンペアなど分かりにくい項目は入力を省略できることもあります。

ただし、使用に関してはいくつか注意事項があります。まず、すべての事業者を比較できるわけではないこと。小売り電気事業者の数は全部で300社以上ありますが、各比較サイトに掲載されているのは50~90社程度です。小さなところは含まれていない可能性があります。

また、キャンペーン割引を適用して計算されている場合、安いと思ったら割引の多くが初めの数カ月や1年だけ、ということもあります。料金を比較する場合は、加入条件やキャンペーン割引をよく確認した上で数字を見る必要があります。

比較サイトも完全ではありませんが、同時に複数の事業者と比較できるツールはやっぱり見逃せません!今と比べてどのように料金が変わるのか一目瞭然なので、ぜひやっていただきたいです。

停電・料金値上げ・倒産・・・電力自由化のデメリットとは?

あわよくば電気代がかなり節約できる電力自由化、しかし、デメリットはないのでしょうか?

停電のリスクは?

現在の日本では、突然停電が起こることはほとんどなくなりました。しかし、小さな新規事業者がたくさん参入してくることで、電気の安定供給に悪影響があるのではないかという心配がなされています。

まず前提から言うと、自由化になったからと言って急に停電が頻発するということはありません。というのは、安定供給のカギを握るのは「送配電網」であり、これは既存の大手電力会社の独占が続くからです。電力会社を変えたからといって電線を交換したりしませんよね?つまり、電気の品質はこれまでと同じなのです。

値上げもありうる?

自由化とは自由競争を促す一方で価格に関しても国が口出しをしなくなることを意味するので、電気料金が今後どのように変化していくのかは気になるところです。せっかく安い事業者を探して契約したもののすぐに値上げ、という状況が危惧されるところですが、実は少なくとも2020年までは電気料金には規制がかかっていて、むやみに値上がりすることはありません。

とはいえ、2020年以降はどうなるか分からないのが正直なところです。競争が進むことでさらに低価格化する可能性もありますし、天候や災害、燃料費の高騰などで値上がりが相次ぐ可能性もあります。

倒産

電気小売業に参入する企業は国の審査をパスした企業ですが、競争の激化や想定外のトラブルなどで倒産してしまう可能性は否定できません。しかし、事業者が倒産したからと言って明日から電気が使えなくなるわけではないので安心してください。

万が一倒産という事態になった場合、既存の大手電力会社(東京電力や関西電力など)が供給を引き継ぎます。その間の契約内容は電力自由化前の契約内容と同等のプランです。経過措置期間の間に、また別の事業者を探して契約する必要があります。停電の心配はありませんが、事業者の見直しなど大きな手間がかかることになります。

まとめ

白金ちな

以上、電力自由化にメリットがあるのはどんな家庭か、どこで料金を比較できるのか、自由化のデメリットや注意事項についてお話しました。

私がここで言いたいのは、盛り上がってないのは確かだしメリットのない人も多いけど、とりあえず1回チェックしてみてー!ということです。

何しろ地域・条件・家族構成・電気使用量・近くの事業者の種類によって、メリットはそれぞれなのです。やってみないと分からないのです。ひとつひとつ当たるのは大変ですから、まずは比較サイトで検索してみてください。

あとはインターネットで「地域名」と「電気」と検索するなどして探す方法もあります。特に電気代が高くなりがちなご家庭は要チェックですよ!