白金ちな


こんにちは、フリーランサーの白金ちなです。

フリーランスの語源は、中世の傭兵にあるといいます。ランスは中世ヨーロッパ騎兵が用いた武器:槍(lance)を指します。

特定の国に属さない槍騎兵 (lancer)が、戦争のたびに傭兵団と契約して戦いに臨み報酬を得ました。

彼らは契約の条件によってどちら側につくのか決めるので、A国の次は敵対するB国なんてこともあり得ます。フリー(free)とは、“拘束されない”という意味です。

私達は、何者にも拘束されない槍を持つ人なのです( -`д-´)キリッ

職業を聞かれてフリーランスと答えると「え?フリーター(笑)」といわれるのがイヤで、なるべく使わないようにしてきましたが、最近ではフリーランスという肩書もアリになってきたように感じます。そして、魅力を感じる人が増えたと同時に、その大変さも浮き彫りになってきました。

広がるフリーランスという働き方

自由業、個人事業主、SOHO、個人企業法人など呼び方はさまざまですが、組織に属さず自らの才覚や技能により独立した働き方をするいわゆる「フリーランス」は、徐々にその人口を伸ばし注目されるようになってきています。

フリーランスの経済規模と人口の推移

参考・ランサーズ株式会社「フリーランス実態調査2018」

フリーランスとして従事する人の数は1,119万人、労働人口の17%を占めます。「そんなにいる!?」という印象ですが、この中には普段はサラリーマンとして会社に勤めながらスキマ時間に副業として働く人も含まれます。経済規模は20兆円を超え、1年で9%の伸び率を見せています。すごいですね!しかしフリーランス大国アメリカの154兆円には遠く及びません。

最近の特徴としては、フリーランスとしての収入がメインではない「副業フリーランス」の数が増えていることが挙げられます。依然としてフリーランスが本業の人が多数派なのですが、サラリーマンか自営業という2択だけでなく、サラリーマンをしながら自営業もという多様な働き方が浸透してきている証拠ではないでしょうか。

フリーランスとして働けるのはどんな職種?

フリーランスの人がどんな事業を営んでいるのかは気になるところです。中小企業庁が調べたところによると、「ITエンジニア」「その他の専門技術職」「デザイナー・商業芸術職」「ライター・執筆業」といった職種が多くを占めます。特にリモートワークが可能なIT系人材の人が多いようですね。

ITエンジニア
アプリやWebサービス開発のプログラマー、システムエンジニア等


その他の専門技術職
士業、コンサルタント、講師、ファイナンシャルプランナー、カウンセラー等


デザイナー・商業芸術職
デザイナー、イラストレーター、クリエイター、カメラマン、イベント企画等


ライター・執筆業
ライター、翻訳、ジャーナリスト、編集者、校正者

(文章を書いてデザインもしてWeb開発もするブロガーさんやアフィリエイターさんがどれに該当するのかちょっと難しいのですが・・・みんな開業届になんて書いているんでしょうね?)

これらの職種の特徴としては、定型的な仕事の進め方とは違った働き方をし、企業が外部に協力を求めやすい職種であることが分かります。

つまり、

  • 1人で作業ができる
  • 作業場所を選ばない、または流動的である
  • クラウドやメールで成果物を提出できる
  • プロジェクト単位で仕事を請負える
白金ちな

といった条件を満たすものです。


優秀な人でも関係者との調整や現場にいることが求められる仕事は外部に発注しにくいという事情があるため、フリーランスとしてはまだ普及していません。

ただ、今後は企業もフリーランスに業務委託するノウハウが浸透してくるでしょうから、事業内容もどんどん広がっていくことが考えられます。

フリーランサーの働き方の実態

ひと口にフリーランスといっても、働き方や就業形態はさまざまです。空いた時間に少しだけ従事する人もいれば、フリーランス1本だけで家族を養う独立個人起業家もいます。フリーランスをタイプ別に整理してみましょう。

4種類のフリーランス

フリーランサーのタイプを勝手に4つに分類してみました。
副業サラリーマン
パラレルワーカー
自由業
独立した専門職

 

Aの「副業サラリーマン」は最近急激に人口を伸ばしているフリーランスの形態です。仕事の合間にちょっとだけ働くことが可能な世の中になってきたということですね。年齢層は若め、IT系に多いのが特徴です。

Bの「パラレルワーカー」はAのように主業を他に持たず、かといってフリーランス1本でやっているわけでもなく、雇用形態にこだわらず幾つかの仕事を掛け持ちしているような人を指します。職種や勤務時間もさまざまです。

Cを「自由業」と銘打っていいものかどうか迷ったのですが他に思いつかなくて…退職や出産などのライフイベントをきっかけに、やりたいことの実現や生活とのバランスを見てフリーランスとして働く人のことです。執筆業や飲食店が頭に浮かびますが、それだけに限りません。

Dの「独立した専門職」は、自前の知識や技術をたよりに独立し、プロとして活躍する人です。士業の人やコンサルタント業など専門的な事業を営みます。フリーランスの中では最も収入が高く、また就業時間も長くなっています。どちらかというと40代50代の高年齢層、かつ男性に多いです。

フリーランスの労働時間は週17.2時間

フリーランスの労働時間は4つのタイプによってずいぶん差があります。

  1. 副業サラリーマン   週6.4時間
  2. パラレルワーカー   週13.6時間
  3. 自由業        週15.4時間
  4. 独立した専門職    週33.3時間

副業サラリーマンは土日に3時間ずつ、パラレルや自由業は平日1日3時間程度、独立した専門職は平日1日6~7時間という感じでしょうか。A<B<C<Dの順に仕事にかける時間が長くなっています。Dになるともはや本業ですから、労働時間が長くなるのもうなずけます。会社員の所定労働時間40時間よりも短いですが、なにしろ平均の値なので、中には土日関係なく働いている人もいるでしょう。

フリーランスの平均収入は186万円

注目のフリーランスの収入はこちらです。同じくタイプ別に分けてあります。

フリーランスの収入

参考・ランサーズ株式会社「フリーランス実態調査2018」
白金ちな


従事する時間に比例して収入が高いのは納得感がありますね。副業サラリーマンは月収にして約6万円、パラレルワーカーと自由業は約13万円、独立した専門職は約30万円です。

他の仕事や配偶者の収入があるかどうかによって考え方は変わりますが、全体的にはやはり十分な報酬が得られているとはいえない数字です。まあ、働く時間も少ないという話もありますが…

もう一つ気になるのが年収に占める割合です。フリーランスとしての収入が収入全体の何割を占めるかを表す円グラフを添えました。副業サラリーマンのフリーランス収入が家計の足し程度であるのに対し、独立した専門職はほぼ収入の柱になっています。

フリーランスの時給は平均約2,000円!

収入と労働時間が分かったので、時給に換算してみましょう。1年を52週と想定しています。

  1. 副業サラリーマン   74万円 ÷(週6.4h×52)=時給2,220円
  2. パラレルワーカー   154万円÷(週13.6h×52)=時給2,180円
  3. 自由業        157万円÷(週15.4h×52)=時給1,960円
  4. 独立した専門職    356万円÷(週33.3h×52)=時給2,060円

最初は収入が少ないと感じた副業サラリーマンですが、時給にしてみると一番成績が良いのは意外でした。一方、ガッツリ稼いでいそうと思った独立した専門職は時給では下から2番目です。もちろん平均なので、時給500円の人もいれば5,000円の人もいるでしょう。

私自身フリーランスとして時給2,000円あるかどうか計算するのもこわいです。あ、でも、スケジュール調整や記帳のような事務作業を除いたらある…かな…?みなさん、平均はあくまでも目安なので、前を向いて頑張りましょう!

フリーランサーまでのキャリアパス

現在フリーランスとして活躍している人は、その前は何をしていたのでしょうか?フリーランサーの前職を調査した結果はこちらです。

フリーランスになる前の職業

フリーランスになる前は、企業で正社員として働いていた人が70%を占めます。その他は派遣社員やパートタイマーで、いずれにしても雇用される立場であったことが分かります。卒業してすぐフリーランス、主婦(夫)からフリーランス、ニートからフリーランスというケースは極めて少数派です。あと、公務員からフリーランスになる人もほとんどいません。分かる。大学教員や教師もめったにないそうです。これも分かる。

フリーランスになったきっかけ

調査によると、フリーランスになるきっかけとなったのは「前職を退職したから」となっていて、そりゃそうだろうという感じですが、次いで「自分の力を試したくなった」「職場での先行き不安」が挙げられているので、独立を目指した積極的退職と、待遇悪化による消極的退職の両方が含まれているのでしょう。

前職を5年から10年ほど勤めたあと独立する人が多く、少なくとも数年以上は企業内で経験や技能または人脈を身につけてからフリーランスとして事業を営む人が多いようです。特に積極的退職の場合は「これならいける!」と判断してから辞めているでしょう。働き方としてフリーランスにあこがれていても、スキルも経験もない無課金ユーザー状態で荒野に踏み出しては危険、ということでしょうか。

実際に働いている人が感じる満足・不満

フリーランスとしての働き方のメリット・デメリットを、経験者はどのように感じているのでしょうか?

フリーランスになって良かった点

フリーランスという働き方に対する満足度のうち、経験者の中で評価が高いのは以下のような項目です。

  • 仕事の自由度、裁量の高さ
  • 仕事の内容、やりがい
  • プライベートとの両立

仕事をする時間や場所を自分で決められる、自分の好きな仕事をできるのは、企業の雇用されているうちはなかなか得難い環境でしょう。就業時間や場所を選ぶことができれば、プライベートとの両立も可能になります。フリーになった多くの人が目的とし、満足する要素ではないでしょうか。

フリーランスになって悪かった点

一方、デメリットもあります。特に挙げられるのは次のようなものです。

  • 収入
  • 社会的評価

フリーランスにとって最も頭が痛いのはお金の問題です。収入の金額もさることながら、安定性がないことも不安要素となっています。安定した収入を得るためには顧客の確保が不可欠ですが、事業に必要な知識や技能の習得よりも仕事を獲ることが大きな課題と感じているフリーランサーが多いようです。

社会的評価が低いことも不満に挙げられています。社会的評価なんて気にしないという人もいるでしょうが、金融機関からの借り入れや新規顧客の開拓においては足かせになります。数が増えてきているといってもまだまだメジャーとはいえない働き方です。

仕事への満足度は高いが収入の低さが課題

いろんな調査や周囲の人を見ていると、フリーランスとして働いている人は収入や社会的評価に不安を抱えながらも、総じて今の仕事に満足して取り組んでいる人が多いように感じます。特に子供がいる人は家族と過ごす時間が増えたことは何事にも代えがたいメリットだと感じているようです。「楽しいけど不安定」、フリーランスの実態を一言で表すならこういうことだと思います。

結論:結局は合うか合わないかの問題

白金ちな


フリーランスの人の中にはサラリーマンの人を「社畜w」と揶揄する人もいますが、サラリーマンでも十分な裁量を与えられて楽しく働いている人もいます。昔のように終身雇用ではなくなったので、もはや特権階級ではありません。

フリーランスになった人の中には…

あれ?全然自由じゃないんだけど・・・

と、サラリーマン時代よりも窮屈な思いをしている人もいます。つまり、人それぞれだということです。

それよりも、あなたはどんな働き方をしたいですか?大企業だからできることもあるでしょうし、自由と責任を重視する人はフリーランスが合うでしょう。どちらも同時にやりたいなら副業でもいいし、就業形態にこだわらないパラレルワーカーでもいいのです。

決められる時代になったからこそ、自分が何をしたいのかが重要になってくるのですね。