こんにちは。白金ちなです。
私はふだんから公共料金や各種支払いはなるべくクレジットカードでしています。ポイントで節約になりますし、家計管理がしやすくなるからです。しかし、税金の支払いの時は、それが何万円という大きな額でも現金で支払うしかなく、「もったいないなぁ・・・5万円なら500円はポイントが付くのに・・・」と悔しく思っていました。

なんと今年1月からすべての国税を対象としたクレジットカード納付が可能になったのです!「国税クレジットカードお支払いサイト」にアクセスすれば、自宅にいながら簡単に所得税・法人税・贈与税など国税の納付ができます。
これまでは地方税のほんの一部だけしかクレジットカード納付はできなかったのですが、一気に全部とは、行政機関とは思えないスピード感です。
特に事業をされている方には朗報なのではないでしょうか。何しろ事業主は国税かかわってくる税金がたくさんあります。今回は国税のクレジットカード納付について調べてみました。
国税の納税方法が1つ増える!
国税とは、国に納める税金のことです。所得税・法人税・相続税・贈与税などの直接税と、消費税・酒税・たばこ税などの間接税があります。
サラリーマンは会社が税額の計算から納税までやってくれるので、通常は確定申告や納税は必要ありません。しかし副業で20万円以上の収入がある人や、年収が2,000万円を超える人、源泉徴収をおこなっていない者から給与を受け取っている場合は申告が必要です。また、資産がある程度以上ある方なら相続税や贈与税を納める機会があるかも知れませんね。
おそらく今回は小規模事業者をされている方の納税の手間を省くことに主眼が置かれているのだと思われます。事業をしていると申告所得税、法人税、源泉所得税、消費税など多くの国税がかかわってきますが、法人税は口座振替が使えないなど不便があったようですから。今回の国税のクレジットカード納付解禁は、個人事業者や中小法人などの小規模事業者にメリットが大きい改正です。
これまでの納税方法3つにクレジットカード納付が追加
これまで、国税を納付する方法は①金融機関や税務署、コンビニエンスストアで現金納付、②銀行やその他金融機関の口座振替、③e-Tax(国税電子申告・納税システム)やインターネットバンキングを使った電子納税の3つでした。これに④クレジットカード納付が追加された形です。

納付書を作るまでは従来と変わりませんが、納税をする選択肢がひとつ増えることになります。従来の3つの方法でもそれぞれメリットはありますが、デメリットもありました。口座振替は税目が申告所得税・消費税に限られ、現金納付はわざわざ金融機関・税務署・コンビニエンスストアまで行く必要があり、e-Taxによる電子納付は事前に税務署への届け出やペイジー対応の金融機関との契約が必要です。手間がかかったり税目によって納付方法が変わったりするのは不便ですよね。
従来からの納税と何が変わる?
クレジットカード納付によって期待できる変化をざっとまとめると、以下のようになります。
- クレジットカード納付ができるのは一部地方税のみ → 国税すべて納付可能!
- 納付は基本的に現金 → クレジットカードが使える!(ポイントが貯まる!)
- 金融機関や税務署まで支払いに行く → 自宅にいながら24時間支払い可能!
- 振替やe-Taxは手続きが面倒 → 専用サイトにアクセスするだけ!

実は、クレジットカード納付は一部地方税に限りすでに実用化されていました。しかしすべての自治体でクレジットカード納付が可能なわけではなく、できたとしても対象になる税目が自治体によって異なっていました。
たとえばA市は住民税・自動車税・固定資産税など多くの税目が対象なのに対し、B市では自動車税のみであるなど、対応はまちまちです。その点、国税のクレジットカード納付はすべての税目が一気に対象になったので、これは高く評価できます。
また、現金納付にしろ口座振替にしろ、従来の納付方法では「現金」しか使えませんでした。それが、クレジットカード納付が可能になったことにより、現金がない時でも納税が可能になりました。
インターネットからの支払いはe-Taxよりも簡単
インターネット上で手続きができるので、銀行や税務署まで出向く必要がなく、自宅や外出先で24時間いつでも手続きできます。パソコンで納税できる方法としてはe-Taxがあったのでクレジットカードが初めてではないのですが、e-Taxはとにかくややこしいのです。
慣れている人は大丈夫なのかもしれませんが、事前に登録が必要な点や、納付にはマイナンバーカードと、ICカードリーダライタが別途必要な点、e-Taxの納付方法の中にも「ダイレクト納付」と「インターネットバンキング納付」に分かれ、インターネットバンキング納付はさらに「登録方式」と「入力方式」に分かれる・・・ここまで調べた時点で私はあきらめました。
クレジットカード納付は専用のサイトにアクセスすればいいだけなので、誰にでも簡単です。
対象になる税目・使えるカード・手続き方法
最初にクレジットカード納付のニュースを聞いた時は「おおっ」と思ったのですが、なにしろ行政のことなので、「税目が限られすぎている」「使えるカードが少なすぎる」「事前手続きが面倒すぎる」などの理由から実際にはあまり使えないのではないかと疑っていました。
しかし、今回はどれも大丈夫なようです。
すべての税目が対象
従来の納付方法の中には税目が限られるものがあり、たとえば口座振替は申告所得税・消費税だけが対象なのですが、国税のクレジットカード納付に関していえばすべての税目が納付の対象です。
| 申告所得税および復興特別所得税 | 消費税および地方消費税 | 法人税 |
| 法人税(連結納税) | 地方法人税 | 地方法人税(連結納税) |
| 相続税 | 贈与税 | 源泉所得税および復興特別所得税(告知分) |
| 源泉所得税(告知分) | 申告所得税 | 復興特別法人税 |
| 復興特別法人税(連結納税) | 消費税 | 酒税 |
| たばこ税 | たばこ税およびたばこ特別税 | 石油税 |
| 石油石炭税 | 電源開発促進税 | 揮発油税および地方道路税 |
| 揮発油税および地方揮発油税 | 石油ガス税 | 航空機燃料税 |
| 登録免許税(告知分) | 自動車重量税(告知分) | 印紙税 |
上記の他に、税金を正しく納めなかった時に課される「加算税」や、期限に間に合わなかった時に課される「延滞税」といった付帯税も納付可能です。
一般の人なら所得税くらいしか該当しないかも知れませんが、個人事業主や法人代表者なら申告所得税、法人税、源泉所得税、消費税など関係する税目が複数あると思われます。納税は税目ごとにおこなうので一括で支払うことはできませんが、合わせるとまとまった金額になる税金をクレジットカードで払うメリットは大きそうです。
使えるカードの国際ブランドが豊富
使えるのはVISA、Mastercard、JCB、アメリカンエキスプレス、ダイナースクラブ、TS CUBICカードの6種類です。このマークが入っているカードなら、セゾンカードでも楽天カードでも大丈夫です。国内発行カードならほぼすべて対応していると考えて良いでしょう。
入力画面にはカード名義人名を書く項目がありません。したがって、納税者本人のカードでなく家族名義のカードでも使えることになります(もちろん勝手に使ってはいけません)。また、三井住友銀行VISAカードとJCBカードに問い合わせてみたところ、法人カードでも使えるとのことです。おそらく他のカードも同様だと考えられますが、気になる場合はカード裏面にあるカード会社に問い合わせてみてください。
納付情報とカードがあればパソコン・スマホで簡単
e-Taxのように事前登録や手続きは必要ありません。「国税クレジットカードお支払いサイト」にアクセスし、ガイダンスに沿って入力していくだけです。納付する国税の税目や納付税額などの納付情報とクレジットカードがあればすぐに手続きできます。納付情報は申告書を作るので把握するのは簡単ですね。Web経由なので、パソコンだけでなくスマートフォンからも可能です。
ポイントは付くが手数料がかかる!
クレジットカードで支払いができるとなると真っ先に気になるのが、ポイントが付くかどうかです。

獲得ポイントは手数料を下回ることもある
「税金は除外」などといわれそうな予感がしていましたが、大丈夫です。ポイントは従来どおり付きます。ただし、残念なことに国税のクレジットカード納付には手数料がかかるのです。
決済手数料は納付税額1万円までが税込82円、以降1万円ごとに82円ずつかかります。1万円に対し82円ということは、0.82%の手数料がかかることになります。
それを超える還元率のクレジットカードならポイント分得をしますが、下回る還元率だと現金で支払うよりも損をします。
還元率1.0%のクレジットカードで支払い=500円分のポイント=90円分トク!
還元率0.5%のクレジットカードで支払い=250円分のポイント=160円分ソン!
納付税額が大きくなるほど差額の金額も大きくなります。0.82%以上の還元率のカードを持っている場合は問題ありませんが、一般的なクレジットカードは0.5%が平均的な還元率なので、多少損をしてでもクレジットカードで支払いたい理由がなければ、他の納付方法のほうが良いかも知れません。
分割手数料にも注意
通常のショッピングと同様に、国税のクレジットカード払いの際も分割払いを選択することができます。高額な税負担が発生しても、分割にすれば月々の負担を分散できます。税金を滞納するわけではないので、延滞税もかかりません。
ただし、分割払いは規約通りに手数料がかかります。これは納税の際にかかる決済手数料とは別に発生するものです。支払回数が多くなるほど分割手数料は増えます。月々の返済額を小さめにしたリボ払いにしてしまうと、利息負担がおそろしいことになるので注意してください。
領収書・限度額・使える場所にも注意
手数料以外に注意しておきたいポイントが3つあります。
領収書が発行されない
クレジットカード払いの場合は領収書が発行されません。近いうちに領収書が必要になる場合は金融機関やコンビニエンスストアで現金納付をするのが最も確実です。後ほど「納税証明書」の発行を申請することができますが、届くまでに3週間以上がかかってしまうので、急ぎの場合には間に合いません。
国税のクレジットカード支払いサイトの手続き完了画面は印刷することができます。また、手続き完了メールが必ず来るので、こちらも印刷可能です。クレジットカードの利用明細にも税目名と金額がきちんと記載されるので、この3通りのいずれかがあれば納税の証明が必要になった場合もたいていは問題ないと考えられます。
カードの利用限度額を超えて利用できない
国税庁のホームページによると、クレジットカード納付ができる金額の上限は1,000万円とあります。しかし、クレジットカードの上限額を超えて納付することはできません。たとえばカードの利用限度額が200万円なら、納付できるのは1,000万円ではなくて200万円です。限度額のうちすでに50万円を他で使ってしまっている場合は、150万円までしか利用できません。
カード払いは専用サイトのみ
クレジットカードが使えるのはクレジットカード支払い専用サイトだけです。税務署や金融機関、コンビニエンスストアなど対面で支払う際は、これまでどおり現金しか受け付けてもらえません。意外と誤解が多そうなので、ご注意を。
結論:事業者にはメリットは大かも
国税がクレジットカードで支払えるようになったことは画期的ですが、いくつか制約があることも分かりました。中でも手数料がかかるのは惜しいですね。「高額な税金をクレジットカードで支払えばポイントもザクザク!」と考えていたのですが、少しあてが外れました。

しかし!
事業をされている方にはメリットは大きいかも知れません。
特筆すべきなのはカードで支払うことにより、支払いに猶予期間が生まれることです。利用代金の引き落し日まで現金は手元から減りません。1~2か月は猶予があり、キャッシュフローに好影響を与えます。
また、法人の場合は銀行口座から振替納税をすることができませんから、現金を用意して金融機関に出向いたりe-Taxを使いこなしたりする手間を考えたら、手続きが簡単で外出する必要がないクレジットカード納付は、たとえポイントが付かなくてもメリットは十分にあります。
個人の場合はどこまでメリットがあるのかまだ分かりませんが、とにかくこのキャッシュレス時代に納税方法が追い付いてきたことは歓迎したいですね。






