
2016年のふるさと納税の期限は12月31日です。
枠がまだ少し残っていたので、久しぶりにふるさと納税のポータルサイトをのぞいてみたら、どのサイトもすごく重い!クリックしてもしばらく反応がなく、待っていたら「サーバーエラー」の文字が。「ああ、申し込みが殺到しているんだなぁ」と実感しました。
12月はふるさと納税の申し込みが集中する時期です。
何にしようかなと悩んでいるうちに年末になってしまい、あわてて申し込む人が増えるからです。カニや肉など冬ごもりにぴったりな商品が増えることも影響しているのかもしれません。
12月が活況だからといって、12月がふるさと納税申請に適した時期とは限りません。むしろ、品切れや遅配など他の季節にはないトラブルが多発する時期です。年末のふるさと納税にありがちな失敗と解決策についてまとめてみました。
12月は申し込みが殺到する時期
まずはふるさと納税の仕組みをおさらいし、申し込みが集中する理由について考えてみましょう。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税とは、好きな自治体にお金を寄附することによって所得税が安くなるしくみです。寄附した額から2,000円引いた金額の税金が安くなり、自治体からはお礼品がもらえます。たとえば5万円寄附したら4万8,000円分の税金が安くなり、差し引き2,000円で特産品などの返礼品が手に入ります。
返礼品は寄附額に対して30%~60%が目安だといわれているので、5万円の寄附なら2,000円の負担で2~3万円の品が手に入ることになります。ふるさと納税は確実に得をする仕組みだといわれているのはこのためです。

では、100万円寄附したら2,000円の負担で50万円分のお礼の品がもらえるのでしょうか?
その通りです。寄附額が大きいほど得をする仕組みになっています。ただし寄附できる額は収入や家族構成によって上限があるため、誰でも高額な寄附ができるわけではありません。
上限が高いのは「収入が多い人」や「独身者」です。収入に対して所得税を支払う割合が多いため、税金が安くなるメリットが大きいのです。逆に「子だくさん」や「貧乏な人」は所得税があまり高くないため、寄附できる額が低くなります。それでも、やってみる価値はありますね。
12月に申し込みが殺到するわけ
そんなおトクなふるさと納税ですが、受付は1年中しているはずなのに、12月になると津波のように注文が押し寄せてきます。全国の月別データが見当たらなかったので鳥取県米子市を例にとると、ご覧のように件数・金額ともに12月がもっとも寄附が多くなっています。

参考・米子市役所「米子市ふるさと納税の平成27年度実績及び平成28年度事業の概要について」
理由はおそらく「ずっと忘れていたけどもうすぐ期限なので思いだした」「もったいないので枠を使い切ろうと思った」が主流だと思われますが、所得が一定でない場合は寄附可能額が年末にならないと確定しないことも影響していると考えられます。
年末の駆け込みでよくある失敗
しかし、年の瀬の忙しい時期に限られた時間で申し込んでしまうと、思わぬ結果を招くことがあります。ふるさと納税の年末の駆け込みでよくある失敗をまとめてみました。
食べきれない食品が山のように届く
あわてて決めてしまうためによるよくある失敗です。返礼品の多くは食料品で、野菜や果物、肉類が主流です。まだ1件も寄附をしていないと寄附可能額が十分にあり、しかも複数の自治体からひとつひとつ選ぶ余裕もないため、気に入ったひとつの商品を最大限注文してしまった結果、2万円分のりんごが届く、という事態に陥ってしまうのです。
締切期限に間に合わない
税金の控除の対象になるのは12月31日までの寄附金ですが、自治体によっては12月上旬で本年分の申込を締め切るところもあります。あまりギリギリに申し込まれても事務手続きが追い付きませんからね。12月も後半になってくると、多くの自治体では「注文はできるけど翌年扱いになる」状態になるので、年内に間に合わせたい場合は12月の早めに済ませておきましょう。
また、クレジットカード払いの場合、受領日をクレジットカード決済があった日とするかクレジットカード会社から自治体に入金があった日とするか、自治体によって考え方が異なります。多くはカード決済をした日を採用していますが、中には自治体への入金があった時点とするところもあるため、その場合は年内に間に合わない可能性が高くなります。ポータルサイトでは詳しい情報が載っていないこともあるので、各自治体のホームページで最新情報を確認するようにしてください。
目的の品が売り切れ
商品の入れ替えやリニューアルは年の前半におこなわれることが多いため、年末を意識する頃になると人気自治体の人気商品はすでに品切れになっていることが少なくありません。人気があるのは寄附額に対する品物の値段を表す還元率が高い品物や、品ぞろえが良いことで有名な自治体などです。還元率が80%を超える商品などは掲載後すぐ品切れになります。人気自治体は毎年上位にランキングされる傾向があり、最近では宮崎県都城市、山形県天童市、長野県飯山市などが有名です。
希望した時期に品物が届かない
ふるさと納税はネットショッピングのように日時を指定して配送できません。配送スケジュールも「受領後2週間から1か月半以内に発送します」と非常にアバウトです。特に年末は自治体の事務作業や発送作業がピークに達し、配送が遅れがちになることが予想されます。「年末年始は配送をしていません」と表記してあるケースもあります。ホームパーティ用の食材など、スケジュールが決まっているイベント用にふるさと納税の品を当てにしていると、最悪間に合わないこともあり得ます。
じっくり選んでいる時間がない場合にオススメのお礼の品
しかし、どうしても12月になるまで申し込めない事情がある方も多いのではないかと思います。
そこで、「まとまった寄附枠があるのにどの品がいいのか分からないし、じっくり選ぶ時間もない」といった場合、どのような返礼品がオススメなのか調べてみました。
ポイント制を採用している自治体を選ぶ
ふるさと納税のポイント制とは、気に入った自治体の返礼品ではなくポイントを付与してもらう制度です。もらったポイントはカタログや特設サイトで使うことができます。欲しい品が12月にはない、あとでじっくり選びたいけど寄附は年内におこないたい場合に最適です。ただし自治体によってはポイントに有効期限が設けられている場合があります。制度変更などでポイントが無効になることもあり得るので、忘れないうちに使ってしまうことが大切です。
定期配送
いっぺんに大量の果物や肉が届いても困る!という方には、年数回に分けて配送してもらえる「定期配送」の品が良いでしょう。米を毎月10kgずつ、旬の野菜詰め合わせを季節ごとに、銘柄の違う日本酒の飲み比べコースなど、便利なだけでなく届くのが楽しみになる内容になっています。中には何が届くか分からない「定期便お楽しみセット」という返礼品もあります。
カタログギフト
ポイント制度は採用していないけどカタログは用意している自治体もあります。この方法でも「急いでいるけどじっくり選びたい」というニーズを満たすことができます。結婚式の引き出物のとは違って、地域の特産品を中心に掲載されているのが特徴です。
電化製品
それほどグルメでもないし大家族でもない、という人は食料品にはあまり興味がないかも知れません。そんな場合は電化製品という手もあります。たとえばタブレットやパソコン。パソコン直販メーカーのマウスコンピューターの工場があることから、長野県飯山市は多数のタブレット、ノートPC、デスクトップPCをふるさと納税の特典にしています。高額な寄附をしたいけど食べ物はちょっと・・・という場合に向いています。ただ、飯山市は人気のある自治体なので、品切れには要注意です。

これらの換金性の高い商品は転売する人が続出して問題になったため、返礼品として提供することを自粛するように総務省が通達を出し、ほとんどのふるさと納税のサイトには掲載されていません。
というわけで、
年末の駆け込みで返礼品選びに迷った場合は・・・
「ポイント制度」「定期配送」「カタログギフト」「電化製品」
12月以外はどうなの?季節ごとのメリット
12月のふるさと納税の申し込みのコツをご説明しましたが、できればあまり混雑しない時期に済ませておきたいものです。では、寄附をするなら、どの季節が最適なのでしょうか?季節ごとの特徴についてまとめてみました。
| 返礼品の特徴 | 人気商品 | |
| 1~3月 | 申込が少なく品数が豊富で、もっとも落ち着いて選べる時期 | カニや肉類、さくらんぼ等人気果物の予約 |
| 4~6月 | 年度切り替えのタイミングで商品の入れ替わりが最も活発 | 新茶や新米の予約、プルーン、マンゴー等 |
| 7~9月 | 果物や米など人気商品が多く、宿泊券やイベントチケットなどの特典も増える | 米、うなぎ、果物、宿泊券、お盆やお中元用品 |
| 10~12月 | 年末にかけて寄附件数がもっとも増加し、人気商品の品切れが続出する | 果物、肉類、クリスマス用品、正月用品 |
こうして見ると、12月以外でも魅力的な商品がたくさんあることが分かります。むしろゆっくり選べて在庫が豊富であることを考えると、10月から12月は避けた方が良いのかもしれません。
もちろん季節的に目当ての品が冬にしかないというなら仕方ないですが、そうでないならば夏の終わりくらいまでにはふるさと納税は済ませておいた方が無難です。
結論:あわてなくても来年がある

12月は1年で最もふるさと納税が混雑する時期であるお話をしてきました。私も人のことはいえませんが、年末が近づいてもまだ寄附枠が残っていたりすると、慌てて申し込まなくてはいけない気がしてしまいます。
しかし、期限ギリギリになって焦って申し込むと、必要でもないものを頼んでしまったり、手続きに手間取って結局間に合わなかったりする結果になりかねません。
また、税金に反映されるのはずいぶん先のことなのに手持ちの現金を減らしすぎると、年末年始に資金不足になるというおそろしい事態も十分に考えられます。
12月31日が期限といっても、ふるさと納税は1年中やっています。「あわてなくても来年があるさ」くらいのゆとりをもって取り組みたいものですね。






