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みなさん、冬のボーナス事情はどうなっていますか?
冬季ボーナスの支給日は、公務員が12月10日、民間企業では12月5日から年末にかけてだそうです。そろそろ、金額が気になる頃ではないでしょうか。
ボーナスの目安は大企業が基本給の2.5か月分、中小企業が1か月分だといわれています。残業代を含めず税金や社会保険料を引く前の給料が20万円なら、大企業なら50万円、中小企業なら20万円ほどの支給額になります。
しかし、実際に支給される金額は業種や企業規模によって異なります。正確な金額が出そろうのは来年春ごろになりますが、それまで待ちきれないので、今回は一足早く2016年冬のボーナスの動向について予想してみることにしました。
今年のボーナス予想は「だいたい前年くらい」
リサーチ会社やシンクタンクは、毎年夏と冬のボーナス支給額の予想データを発表しています。2016年冬のボーナス予想は以下のようになっています。
民間企業一人あたり平均支給額(予想)
| リサーチ会社 | 支給額 | 前年比 |
| 三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 37万1,676円 | 0.4%↑ |
| みずほ総合研究所 | 37万393円 | 0.0%→ |
| 第一生命経済研究所 | 36万9,000円 | -0.3%↓ |
三菱UFJリサーチ&コンサルティングは「ちょっと増える」、第一生命経済研究所は「ちょっと減る」、みずほ総合研究所は「変わらない」と予想しています。要するに去年の冬のボーナスとだいたい同じというということですね。
前年の2015年民間企業冬季ボーナスの公表値は、37万367円ということなので、今年の予想と比べてみるとたしかにほとんど変わりません。
ボーナスの支給額を決める基礎となるのは「所定内給与」、いわゆる基本給です。基本給とは、残業代を含まず、税金や社会保障費を引かれる前の給与額のことです。所定内給与は6月頃からけっこう調子よく上がってきていました。また、夏のボーナスが好調で、人手不足による待遇改善が期待されるなど、冬のボーナスの成績がよくなる材料は悪くありませんでした。
しかし、企業の今年前半の業績があまりふるわず、利益が前年に比べて13.9%も下がってしまいました。そのため、プラス要因とマイナス要因が打ち消し合い、結果今年の冬のボーナス予想は去年とトントンくらいの水準になりました。買い物や貯蓄の予定は去年を参考にして決めましょう。
直近5年間のボーナス支給額の推移
ここ数年のボーナスの前年に比べた割合の変化は、以下のグラフのようになっています。


2014年は幅広い業種で企業の業績が良かったため、5年ぶりの前年比増となりました。その反動で2015年はボーナス支給額が夏冬ともに前年比マイナスになりましたが、今年の夏には持ち直しました。
その流れで冬も好調かと思われましたが、先ほど述べた要因により、伸び率はほぼゼロになりまる予想です。
このようにボーナスは毎回金額が変わるので、もらう側としては気が気ではありません。
ボーナスが増えそうな業種、減りそうな業種
これまでは企業全体を見てきましたが、業種別にも今年の冬のボーナスの予想をしてみましょう。企業のボーナスはその年の業績に大きく影響されます。今年の業績から、ボーナスが増える/減る企業の予想をしてみましょう。
増額が予想される業種
今年好調を予想されるのは「不動産業」と「建設業」です。不動産業は分譲・賃貸共に売れ行きが好調で、この流れは東京オリンピックの2020年まで続くと見られています。特に首都圏では大型案件がどんどん進められており、オフィス賃料も上がっています。また、不動産業は資金調達が一番の頭痛の種なのですが、日銀のマイナス金利政策によって事業資金を作りやすくなっていることも追い風です。
同様に、建築業も業績が好調です。都内の再開発がピークを迎え、東京オリンピック関連の工事もしばらくは続きそうです。東日本大震災の復興関連では、以前は受注こそ多かったものの資材高騰などで利益があげられなかったのですが、最近では不採算事業の数も減ってきたとのことです。また、技術者不足から賃金が上昇しており、ボーナスの増額も期待されます。
【参考】
エコノミックニュース
【不動産業界の2016年4~6月期決算】2020年に向けて分譲は好調、賃料は上昇。
巨額の開発投資を行っても資金が回る状態
M&A Online
上場ゼネコン60社『2016年3月期決算調査
減額が予想される業種
一方、業績の悪化からボーナス減額が予想されるのは「製造業」です。特に「自動車・自動車部品」の不振が懸念されます。製造業は為替の影響を受けやすく、円高により利益率が低下してしまいます。また、熊本地震や燃費不正問題、海外景気の低下など、突発的な要因も影響しています。
日本を代表するもうひとつの製造業である「電機」は、企業によって業績がまちまちですが、全体としてはあまりよくありません。2017年3月までの業績予想では、大手8社のうち1社だけが売上微増で残りすべてが減収という見通しになっていて、あまりボーナスが上がるという雰囲気ではありません。
業種別「支給額」ランキング
さて、過去の支給額に対して増えるか減るか、という話を進めてきましたが、気になるのはやっぱり「金額」ですよね。ボーナスをたくさんもらえるのはどの業種なのでしょうか?昨年末と今年夏のボーナスの労働者一人当たり平均支給額を業種別に表にしてみました。
| 業種 | 2016年夏 | |
| 平均支給額(円) | 前年比(%) | |
| 電気・ガス業 | 681,237 | 5.3 |
| 情報通信業 | 656,798 | 8.5 |
| 学術研究等 | 610,712 | -0.2 |
| 金融業 保険業 | 606,960 | -1.3 |
| 製造業 | 497,418 | 0.5 |
| 教育 学習支援業 | 484,069 | -1.9 |
| 不動産・物品賃貸業 | 456,547 | 19.8 |
| 建設業 | 423,007 | 2.4 |
| 複合サービス事業 | 419,946 | 7.2 |
| 鉱業 採石業等 | 378,106 | 13.5 |
| 運輸業 郵便業 | 334,310 | 3.4 |
| 卸売業 小売業 | 309,582 | 4.5 |
| 医療 福祉 | 265,641 | 3.3 |
| その他のサービス業 | 234,960 | 3.8 |
| 生活関連サービス等 | 141,651 | -6.9 |
| 飲食サービス業等 | 65,910 | 4.0 |
ボーナス支給額上位の常連なのは、「電気・ガス業」「情報通信業」「金融・保険業」「学術研究」です。今年夏はいずれも60万円を超えています。
1位:「電気・ガス業」
あの問題を起こした企業を含め、インフラ系はやっぱり強いですね!自由化されたとはいえ実質は独占企業で、収入も安定しています。徐々に減ってきてはいるものの、ボーナス支給額の平均ではまだまだ上位をキープしそうです。
2位:「情報通信業」
こちらもインフラ系ということができるでしょうか。ただ範囲は広めです。電話回線や携帯電話、テレビ放送・ラジオ放送・衛星放送・有線放送、インターネット接続やセキュリティにかかわる業種です。新聞社や出版社もここに含まれます。マスコミが入っているならボーナスが高いのもうなずけます。
3位:「金融・保険業」または「学術研究」
金融業界も給料が高いことで有名ですよね。特に大手証券会社や銀行が高収入です。学術研究という業種は聞きなれないですが、「○○開発研究機構」「△△研究所・試験場」といった高度な研究機関や、弁護士事務所・特許事務所・会計士事務所・経営コンサルタント業など、いわゆる「士業」と呼ばれる職業のことです。なるほどそれは高給でしょうね。
先ほど冬のボーナスで増額が期待されるのは不動産業や建築業だとお話ししましたが、10%や20%増えたところで、もともと高い業種にはとうていおよばないようです。元気出していきましょう!
公務員は2.3%の大幅増の予想
これまでは民間企業のボーナスについてお話してきましたが、ここで公務員はどうなのかおさえておきましょう。だいたい予測はつくと思いますが、公務員のボーナスは高いです。実際いくらくらいなのでしょうか?
昨年の国家公務員の冬のボーナスは、一人あたり69万8,500円でした。さきほどの業種トップのボーナスに比べても高額ですね。たしか民間全体の平均は37万367円だったはず、ずいぶん高いように感じます。(参考・経団連『2016年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(加重平均)』)

「公務員優遇!」と文句を言いたいところですが、公務員は民間よりもおしなべて高いわけではありません。いわゆる大企業よりは低めです。
東証一部上場の主要245社の2016年冬のボーナスの総平均妥結状況は92万7,892円です。妥結額とは、労働組合と経営者側が話し合って出された賃金額のことです。
つまりボーナスは、大企業>公務員>中小企業の順に高いことが分かります。それを示すデータがあります。事業規模別ボーナス支給額です。
<ボーナス平均支給額(円)>
| 事業規模 | 2015年冬 | 2016年夏 |
| 500人以上 | 631,916 | 649,810 |
| 100~499人 | 425,845 | 423,055 |
| 30~99人 | 329,906 | 314,710 |
| 5~29人 | 273,278 | 262,243 |
実に分かりやすく、ボーナス支給額は従業員数に比例しています。
大企業と中小企業の定義は難しいのですが、従業員数が500人以上であれば大企業と考えても良いでしょう。
つまり表の一番上は広い意味での大企業で、公務員とだいたい同じくらいの賃金水準です。そこからさらに誰もが名前を知っているような企業になると、ボーナスの額もはね上がります。
子供たちの将来の夢が「大企業か公務員」なのは夢がないとなげきたいところですが、このように給料には歴然とした差があることは確かです。収入だけを進路の材料にするかどうかは考えものですが・・・。
ボーナスは「出ない」が4割
さて、公務員が69万円だの大企業は90万円だのといった景気のいい話をしてきましたが、どうでしょうか、中には「うらやましい・・・」「こっちは出るかどうかさえ分からないのに」「そもそもボーナス自体がないし!」という方も、いらっしゃるのではないでしょうか。
安心してください(?)。あなただけではありません。ある統計では、中小企業の4割はボーナスを支給しないというデータがあります。

2016年6月の大阪シティ信用金庫調査によると、ボーナスを支給しないと回答した中小企業は38.4%にのぼることが分かりました。対象となった企業は大阪に限られますが、特に全国平均に比べて景気の悪い地域というわけではありません。

また、中小企業に対する調査ではありますが、企業の99.7%は中小企業なので、全体と表しているデータと考えても差し支えないと思われます。
さらに、派遣・パート・アルバイトといった非正規労働者は企業で働く人の37%を超え、通常非正規にはボーナスはありません。
個人事業主やフリーランスといった働き方は、中小企業でも従業員5人以下の小規模な企業という位置づけで、ボーナスどころか固定給という概念すらありません。
これらの状況を踏まえると、実はボーナスをもらえるほうが少数派と考えるのが自然ではないでしょうか。
まとめ
以上、今年の冬のボーナスについてみていきました。まとめです。
- 全体の予想は「前回とほぼ同じ」
- 業績の良い業種では増額も期待できる
- 多少の増減があってもやっぱり公務員と大企業が最強
- ボーナスをもらえないのはよくあることなのでクヨクヨしない
働き方の多様化で、ボーナスの支給額で景気を占うみたいな習慣はあまり意味がなくなってくるのではないかと思うようになりました。この時期になるとボーナスの話題で持ちきりになるのは、正規雇用と年功序列が当たり前だった時代のなごりではないでしょうか。「ボーナス商戦」という言葉も、そのうちなくなるかも知れません。






